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知恵を授かったソロモン王は悪魔をも支配していた?

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旧約聖書の世界では、こんにちキリスト教に見られるようなイエス・キリストの名前はまだなく、旧約聖書に登場している古代イスラエルの王であるサウル、ダビデ、ソロモンは、「キリスト教前夜」の時代に生きていた人物である、といえます。しかし、キリスト教のベースとなる価値観や概念は、あますことなく旧約聖書にも描かれています。

そんななか、古代イスラエル第三代の王であるソロモンが、悪魔をも支配する存在であったことが、オカルト好きの間で浸透しています。この概念は、はるか昔のヘレニズム期のユダヤ人の間では、既に浸透していたようです。

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ソロモン王の叡智を示すエピソード

古代イスラエルの初代の王であるサウル、姦淫によって神の怒りを買ったものの、晩年は改心したとされるダビデ王、そしてその子で王位を継承することになるソロモン王と、古代イスラエル最盛期の三代の王のエピソードは、旧約聖書にそれぞれ詳しく記されています。

なかでもソロモン王がどれほど知恵をもっていたか、ということを示す有名なエピソードに、「神が与えた能力」のお話があります。

ソロモン王が王位を継承した後、ヤハウェ(ユダヤ教の唯一神)がソロモンの夢枕に立ち、「何を与えるか」を問います。俗人であれば、お金や名誉などを欲するところを、ソロモンは「聞き分ける心を与えてください。民衆を裁くための、善悪のわきまえ方を教えてください」とお願いします。このことは、結果的に神であるヤハウェの意志とも合致して、ソロモンは望み通りの知恵を手に入れることになります。

 

悪魔支配の概念はいつ登場した?

このように、一見悪魔的な概念とは程遠いイメージを持つソロモン王なのですが、旧約聖書で描かれた古代イスラエルの最盛期は、ちょうどソロモン王が統治をおこなっている紀元前1000年頃であった、とされていて、この時期にはまだ「ソロモン王が悪魔を支配していた」という概念は存在していませんでした。この逸話は、相当後年になってから作られたものである、というのが定説になっています。

しかし、紀元前3~400年頃の、有名なアレキサンダー大王による東方遠征の影響で勃興したヘレニズム文化(古代オリエントと古代ギリシャの文化の融合によって生まれた、当時としては新しいギリシャ風の文化)の時代には、「ソロモン王と悪魔の関係」が既に取り沙汰されていますので、この時期の文化の融合が、ソロモン王のイメージの変化に影響したもの、と思われます。

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カテゴリ: その他

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