> >

(後編)イタリアで見つかったヴォイニック写本の謎。中世の作品なのか

ヴォイニック写本

 

1912年にイタリアで発見されたという、全編解読不能な文字で記されたヴォイニック写本(ヴォイニッチ手稿、またはヴォイニッチ写本とも呼ばれています)は、内容の解読はおろか、写本が著された年代も、明確にはわかっていません。
たくさん書き込まれている植物などの挿絵についても、現在一般的に知られている植物ではない姿であるため、何を描いたものなのか、不明なままです。

スポンサードリンク

 

 

羊皮紙が使われているから中世の作品か?

写本に使われている材質は羊皮紙であり、この材質が頻繁に使用されていたという中世に著された可能性について調査されたのですが、羊皮紙の製法も当時から秘匿されている場合が多く、材質からの執筆年代特定はできないまま現在に至っています。
また、およそ240ページからなる写本の大半のページには、挿絵とその詳細説明に見える配置で描きこまれているため、「何らかのマニュアルの類ではないか」、との仮説のもと調査が進められましたが、この点についても結論は出せていません。
文字の解読、描かれている挿絵の正体、年代、写本の製作目的など、写本の存在そのものが謎です。

 

 

言語学の統計的手法からの解析

言語の専門学である言語学の解析アプローチには、「統計的手法」と言うものが存在します。
ヴォイニック写本の解読調査のひとつとして、この統計的手法も用いられました。
その結果、写本の文字はただでたらめに並べられているのではなく、何らかの意味を持つ文字列である、と判断されています。
1945年には、第二次世界大戦当時に「暗号の天才」と呼ばれたウィリアム・フリードマン氏が解読に挑みましたが、やはり失敗しています(氏は、「暗号ではなく人工言語の一種ではないか」との見解を示しています)。

 

 

1582年よりは古い時代に製作されている

2011年、製造時期についての調査が、アメリカはアリゾナ州にある、アリゾナ大学で試みられました。
放射性炭素年代測定という手法により、羊皮紙は1404年頃~1438年ころのものであることが推測されたそうなのですが、実際の執筆はもっと後だったのではないか、と考えられています。
なぜならば、写本のカバーから発見された書簡から、1582年、ボヘミア王であるルドルフ2世が、600ダカット(中世ヨーロッパで流通していた貨幣単位)で購入していた記録が見つかっているためです。

 
このように、「年代にそぐわないもの=オーパーツ」として分類されているヴォイニック写本は、オーパーツであるだけではなく、文字や挿絵を含めて、存在そのものも不明な点が多い「現代に引き継がれた奇書」、といえそうです。

このエントリーをはてなブックマークに追加


スポンサードリンク
スポンサードリンク

カテゴリ: その他

Comments are closed.