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竹取物語~かぐや姫を取り巻く帝と五人の求婚者たち

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竹林の中で見つけられた時には、わずか数センチという大きさであったというかぐや姫は、たった3か月のうちに成人し、多くの男性の関心を集めることとなりました。

かぐや姫の家に訪れる男性は、当初は後を絶たなかったのですが、あまりに厳重な警備に、結果的にかぐや姫を見ることも妻にすることも、あきらめてしまう者もたくさん出てきました。

それでもあきらめなかった公達が、石作皇子、車(庫)持皇子、右大臣阿倍御主人、大納言大伴御行、中納言石上麻呂の「色好み」といわれる5人です。

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求婚者への無理難題

かぐや姫の親がわりのおじいさん(竹取の翁)は、「自分ももう70歳であるし、竹から生まれて3か月で成人した変化の姫とはいえ、妙齢で結婚しないわけにはいかないだろう」と、かぐや姫に結婚を提案します。

がぐや姫はそれに応えて、「求婚者の身分がいかに高くとも、深い志を知らないまま結婚することはできない、私が言うものを持ってきた人にお仕えする、という旨を5人に伝えてほしい」といいます。

かくして5人の公達に、かぐや姫からの要求が伝えられます。石作皇子へは「仏の御石の鉢」、車持皇子へは「蓬莱の玉の枝」、右大臣阿倍御主人へは「火鼠の裘(焼いても燃えない布)」、大納言大伴御行へは「龍の首の珠」、中納言石上麻呂へは「燕の産んだ子安貝」をそれぞれ要求します。

これらは「存在する」との噂や伝承があったものの、いずれも本当に手に入れることは困難である、と思われていたものばかりでした。

 

いずれも失敗に終わる5人の公達

結論からすると、皆要求にこたえることはできませんでした。石作皇子は「仏の御石の鉢」ならぬ普通の鉢を持ってきてアウト、車持皇子は「蓬莱の玉の枝」を作らせたことが、制作料金を職人に支払っていないことから露呈してアウト、右大臣阿倍御主人は「火鼠の裘」に火をつけられて燃えたためアウト、大納言大伴御行は「龍の首の珠」を発見できず病気になってアウト、中納言石上麻呂は「燕の産んだ子安貝」探索中にケガをしてアウト、といった具合です。

公達5人が失敗したあと、ついに最高権力者である帝の求婚を受けるに至り、物語は最終局面に向かいます。

 

かぐや姫月に帰る

先の公達とは異なり、帝とかぐや姫はおよそ3年間文通を交わしていたのですが、ある日かぐや姫は「自分はこの国の人間ではない、月に帰らなければならない」と言い出します。帝はこれを阻止しようと、軍勢をかぐや姫の家に送ります。

月から来た「迎の使者」があらわれると、不思議なことに兵士は力が萎えてしまい、弓を射ることもできず、天に昇って月に帰らんとするかぐや姫を、なすすべもなく見送ることとなります。かくしてかぐや姫は、月に帰ってしまった、とのことです。

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カテゴリ: その他

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