猫?父?先祖?妹の怒りを免れたささやかな不思議体験
第六感が当たった・・・という体験には間違いございません。
ただ、あまりにもささいな体験なので、人様から見れば文章に綴るほどの内容とは到底思われないかもしれません。
妹と猫の関係性
私には妹がひとりおります。
そして、わが家では猫を8匹飼っております。
もとはみな野良猫でした。
妹が猫好きで、餌付けをしたために居着いてしまったのです。
妹は、猫たちが言うことを聞かないと烈火のごとく怒ったりもするのですが、一方で家族が猫の安全に配慮するのを怠るようなことがあった場合も、やはり非常な剣幕で怒ります。
そのため、私などは毎日のように怒られております。
たとえば床にハサミだとか危ないものを置きっぱなしにしたり、ドアを開ける前に猫が近くで隙をうかがっていないか確認するのを忘れて、うっかり脱走させてしまったりしたときなどです。
妹に怒られるくらいたいしたことではなかろうとお思いでしょうが、彼女がいったん怒れば半年口をきいてくれないこともあり、それでは日常生活にも何かと支障が出るため、できれば平穏に生活を営んでいきたいと考えているのです。
なにやら胸騒ぎがいたします
さて、ある晩のことです。
玄関や窓の戸締まりは私の役目になっているので、いつものように鍵をかけて回りました。
どこかに不備があった場合、これは怒られるのが当然なので、よくよく気をつけて確認をしました。
私にしては珍しく、この日はどこもきちんと戸締まりをしたという自信があり、安心して自分の部屋へと戻っていきました。
と、そのとき、なぜか急に、「今すぐ戸締まりをもう一度確かめに行かなければならない」という、非常に強い考えが頭の中に広がったのです。
「いや、確かに今日はちゃんと戸締まりしたのだから、そんな必要はない」と自分に言い聞かせましたが、「だめだ。どうしても、もう一回見に行かなきゃ」という気持ちは消えません。
暗闇の中で、足に触れるものがあります
なんでかなあ・・・と自分でも不思議でした。
私は勘が鋭いというようなタイプでは全くないのです。
でも、しょうがないのでもう一度、電気も消して真っ暗になった廊下を玄関へと歩いていくと・・・足の裏が、なにかコロンとしたものを踏みました。
明かりをつけてよく見ると、それはカレンダーを壁に留めていた画鋲の一つでした。
亡くなった父が、ある地方銀行の一枚物のカレンダーをとても気に入っていたので、亡くなった後も私が毎年もらってきては壁に貼っていたのです。
その画鋲が抜け落ちて、廊下の真ん中にぽつんと転がっており、それを真っ暗な中で私がまるで狙ったかのように踏みつけたのでした。
烈火のごとく怒る妹を想像すると…
怪我はしませんでしたし、私が怪我をしたところでそれは問題ではありません。
問題は、私が使っていた画鋲が落ちていて、それに気づいていなかったということです。
妹がもしこれを見つけていたら、猫たちが歩く廊下に画鋲など・・・言語道断です。
論外です。
半年口をきいてもらえないくらいではすまなかったかもしれません。
不思議なことなど、とんと縁のない私ですが、このときばかりは確信しました。
父か、他のご先祖様か、あるいは猫の神様かわかりませんが、誰かが私に、画鋲が落ちたままになっているから、取りにおいで・・・と教えてくれたのだと。
これが私の体験ですが、こうして書いてみてもあまりにちっぽけな体験ですね。
ですが、このとき以来、世の中にはやはり不思議なことはあるのだと、自分としては心から納得できました。
それで、こんなものではありますが、私にとっては大切な経験になっております。