> >

現代医学の源流?錬金術とイアトロ化学

イアトロ化学

紀元前、古代ギリシャでアレキサンドリア錬金術として生まれ、アラビア・イスラム世界を経て、中世ヨーロッパでさらに熟成を進めた錬金術は、並行して発達した中国やインドの錬金術的思想などとともに、現代化学や医学、ひいては宗教や価値観という、幅広い領域に影響をおよぼしています。
中でも、現代医学の源流ともいえるのが、イアトロ化学という概念だといわれています。

スポンサードリンク

「賢者の石」に象徴される錬金術の目的

創世記の錬金術は、金属加工技術といっても過言ではないもので、現在でいうところの冶金術や冶金学のようなものであった、といいます。金や銀といった貴金属に、別の物質を混ぜて増量を試みたり、色を変えるような技術を開発したり、といった内容でした。その技術は、のちに化学のベースとなる元素や、基本的な物質の概念や定義を生み出すのに十分なものであった、といいます。

その後錬金術には、世界各国におけるそれぞれの世相や経済状況、宗教などを背景に、人間そのものの創造や、不老不死への挑戦、といった新しい目的が加わっていきます。
中世ヨーロッパの十字軍の結成に象徴されるような、宗教間の争い事が頻発し、軍の遠征に伴って離れた国家間の文化的融合が活発に起こったことも、錬金術の目的の拡大の一因となった、と思われます。かくして、錬金術の目的の象徴としての「賢者の石」の概念も、このころ生まれています。

ルネサンス期を代表する錬金術師パラケルスス

文化的融合に触発される形で起こったルネサンスという芸術運動は、錬金術の分野にも大きな影響をおよぼしますが、この時期に錬金術師としてもっとも有名な人物のひとりである、パラケルススが活躍しています。

スイス出身のパラケルススの本名は、テオフラストゥス・フォン・ホーエンハイムといわれていますから、パラケルススというのはペンネームのようなものだった、と考えられます(後世にはさらに長い「フィリップス・アウレオールス・テオフラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム」という名前であった、という説も生まれています)。

錬金術師として名を残したパラケルススですが、その功績は、むしろ現代医学や化学の分野でこそ評価れるべきものだった、という見方も存在しています。
20世紀に入って、パラケルススの再評価するような動きが活発化しているのですが、そのなかで、パラケルススが標榜していた錬金術のアプローチについて、「パラケルスス主義」、「パラケルスス医学」、または「イアトロ化学」と名付けていたようです。

このエントリーをはてなブックマークに追加


スポンサードリンク
スポンサードリンク

カテゴリ: その他

Comments are closed.