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屈指の聖獣と言われる麒麟(キリン)とは?

麒麟
「麒麟(きりん)」という言葉を聞いて、わたしたちが思い浮かべるのは何でしょうか。とてもポピュラーなビール会社の名称、もしかしたらそのマークとなっている不思議な獣の姿もイメージするかも知れません。あるいは、動物園で見ることのできるキリン?

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元は霊獣の麒麟だった!

ちなみにキリンビールの麒麟のマークは、1888年(明治21年)に発売されたビールからラベルのデザインとして使われているそうで、欧米のビールが動物をマークとして描くことが多かったことから、東洋の霊獣を描こうということになったそうです。とても長い歴史があるんですね。

また実在の動物のキリンは中国の明の時代、1419年に東アフリカから明に運ばれて来たライオンやサイなどの動物たちのなかのひとつで、伝説の霊獣である麒麟に似ていたことからこれを麒麟と呼び、その名称がそのまま日本にも伝わってキリンと呼ぶようになったのだとか。
つまり、ビールの名称やマークも動物のキリンも、もとは中国大陸に古くから伝わる霊獣である麒麟がもとになっているわけです。

麒麟は四神の霊獣に入るのか?

古代中国の「陰陽五行思想」を基として、天と大地の東西南北の4つの方位を司る霊獣(神獣)が「四神」です。通常、東を司るのが「青龍」、西を司るのは「白虎」、北を司るのは「玄武」、南を司るのが「朱雀(すざく)」とされ、そこに麒麟は入っていません。
中国古代の「前漢」の宣帝の時代(紀元前74年から紀元前49年)に成立したとされる「礼記」という書物には「麒鳳亀龍、謂之四神」と記されているそうで、つまり麒=「麒麟」、鳳=「鳳凰」、亀=「玄武」、龍=「青龍」が四神であるとしています。何が四神なのかはこのように諸説があり、確定していなかったのかも知れませんが、筆頭にあげられた麒麟がとても尊重される霊獣のひとつであったことは確かなようです。

一般には、五行思想に基づき4つの方位に中央を加えた「五神」とし、その中央には麒麟または龍のなかでも皇帝の龍とされる「黄龍」を配置する、という考え方があります。また、「礼記」にあげられた麒麟、鳳凰、亀、龍は霊獣のなかでも「四大瑞獣(ずいじゅう)」とされ、瑞兆=良いことが起きる前兆またはそのシンボルとして姿を現す存在であると言われています。

麒麟は仁徳を備えた霊獣

つまり麒麟は、中央を護る方位神であり四大瑞獣のひとつとして、とても尊崇される存在であったことがわかります。
瑞獣として以外にも麒麟は、儒教でいちばんの徳目である仁徳を備えた「仁獣」、つまり情け深い霊獣でもあります。動物の肉も草などの植物も食料とはせず、歩くときには虫も踏まず草の芽を踏みつぶすこともないのだとか。

そして徳を備えた王者が国を治めているときにはその姿を見せるが、殺生を好む治世者がいるときには姿を隠すと言われています。このように麒麟は、中国の儒教的な考え方に性格づけられている面が多くありますが、その儒教の祖である孔子と麒麟との関わりについては、また別の記事でご紹介することにしましょう。
ともかくも霊獣、神獣であり、瑞獣、仁獣でもある麒麟は、「屈指の聖獣」と呼ばれることがあるのも頷けます。

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