ツタンカーメン王の岩窟墓の埋葬されていた副葬品とは?
エジプトで発見された古代エジプトの王達の墓が密集する場所である王家の谷は、エジプト新王国時代に作られた岩窟墓であり、それまで作られていたピラミッドとは一線を画したつくりになっています。王家の谷で比較的近年になってから発見されたツタンカーメン王の墓は、ほかの墓が既に盗掘に遭い、副葬品の多くが失われていたことと比較して、ほぼ副葬品がなくなっていなかったことでも有名です。ツタンカーメン王の墓から、どのような副葬品が見つかったのでしょうか。
紀元前14世紀頃のエジプトを統治したツタンカーメン
ツタンカーメン王は、古代エジプトの時代分類によると、新王国時代に相当する時期の王で、紀元前14世紀頃の、古代エジプト第18王朝の王(=ファラオ)、とされています。直前の王をスメンクカーラーといい、次の王がアイという名だった、ということです。この時代の副葬品としては、黄金のマスクをはじめとして、さまざまなものが発見されています。
黄金のマスク
古代エジプトの副葬品に興味のある方なら、一度は目にしていると思われる、代表的な副葬品が、黄金のマスクです。全体に金色で、スフィンクスと同じような、人が頭巾をかぶったような形状のマスクで、頭巾の部分には縞模様が入っています。額にはコブラと思われる蛇のようなかざりがついていて、顔のあごの部分には、ひげをあらわす棒状の部位が形作られています(ファラオのマスクには、女性のものも含めてたいていひげ状のものがついています)。ツタンカーメン王の墓からは、このような黄金のマスクが、ほぼ原型をとどめた形で見つかっています。
えんどう豆や戦車、多数の杖なども発見
黄金のマスクのほか、使った形跡を示す二輪戦車(=チャリオット)やブーメラン、えんどう豆、こちらも使った形跡が認められる多数の杖(130本以上とされています)、多数の矢、盾、コリアンダー(セリ科の一年草で、熱を下げる効果があるといわれています)などが見つかっています。他にもペンダントやひじ置き、神を形どった像、セネト(古代エジプトのゲーム)など、多くの装飾品や副葬品が見つかっています。それから、2体の赤ん坊か胎児と思われる子供のミイラも、ツタンカーメン本人のミイラとともに見つかっており、こちらは本人の子供が生後すぐ亡くなったか、または死産だったかの可能性がある、とのことです。ただ、ミイラの保存状態は、防腐剤の劣化などの影響で、あまり良くなかったようです。