雪道でおきた、今ならありえない体験談。事故を未然に防げたのは何かの力?
今だったらとんでもない話ですが、もう20年以上前のある地方の山中での出来事です。
若気の至りと言うのはただの都合の良い言い訳でしかありません。
とにかく、交通事故の多い会社でした。
冬場は雪が積もり、田舎なのでみんなスピードを出すこともひとつの原因だったと思います。
事故が多い地域でした
イノシシの家族に突っ切られて廃車にした人、野生動物もペットも動物関係は多かったですね。
凍結防止の塩化カリウムに乗り上げて廃車。
霜で滑ったとか霧で路肩に落ちたり、凍結や雪での自損事故はしょっちゅうでした。
挙げ句は、雪の中をドリフトして遊んでいたりと今で言うDQNなことばかりを若者はやっていましたし。
なのに不思議と、私の在職中に交通事故で相手の方や車に被害を与えたり、自分や搭乗者が怪我をしたということがなかったのです。
今考えると、そうとう悪運が強かったとしか思えません。誰かを傷つけなかったことに感謝するばかりです。
地元の人ばかりでなく、当時他所から来て会社に勤めていた私たちも、車で行動するのが当たり前でした。
狭い町の人の目を嫌い仕事が終わってから遠くまで遊びに行ったり、晩ご飯を食べて飲んで代行も無いからと自分で運転して帰ったり。
飲酒運転に対する罰則や世論が厳しくなかったこともあり、田舎なので飲んで運転することを大目に見て貰える空気に思いっきり甘えていたのでしょう。
その事件が起きたのは、山に初雪が降る頃でした
みんなで飲もうと遠くまで出かけて行きました。
現地集合で三々五々集まり、全部で20人以上は居たような気がします。
美味しい居酒屋で飲んで食べてワイワイ盛り上がり、その内男同士で揉め始めたので止めに入ったりとお店の方やお客さんにも迷惑な団体客でした。
店を出て何人かは帰り、私たちは酔いを覚まそうと少し残ることにしました。
行きに乗せてくれた人から、「どうしても一緒に帰ろう」と何度も言われたのですが、何故か「この人とは帰りたくない」と強く思ったのです。
ひどく酔った人の車を私が運転して帰るからと、先にひとりで帰ってもらいました。
次の日、行きに乗せてくれた人は自損事故を起こしていました。
不思議と本人にたいした怪我はなく、会社からは男性陣だけが厳しいお叱りを受け女性陣はお咎めなしで、事故を起こした人にも申し訳なかったとお詫びしました。
ところが、こう言われてゾッとしたことを忘れません。
「君は、ふたりの命を助けた。君が運転してくれていたら、僕は君を死なせていたかも知れない」