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獅子舞の2種類の系統:風流踊系の三匹獅子舞とは

獅子舞

室町時代に流行した「風流踊(ふりゅうおどり)」を起源とする獅子舞には「三匹獅子舞」というものがあります。

これは、ひとりの演者が一頭の獅子を演じる「一人立」の獅子が3頭ひと組となって舞う獅子舞で、関東地方や静岡、甲信越、東北、北海道など東日本の各地で見られるものです。

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華やかな三匹獅子舞

それぞれの獅子は腹に太鼓を抱えて打ちながら踊り、3頭のうち2頭が雄獅子で1頭が雌獅子というのが通常のようです。また獅子以外にも、天狗や河童や猿、太夫や神主といった役柄の道化が加わったりもします。

この三匹獅子舞は、中世の風流踊のうちの太鼓や鉦などの楽器を鳴らしてはやしながら踊る「中踊」が、やがて獅子頭を被った3人ひと組の演者となり、「すりざさら」などを鳴らしながら中踊を囲んで大勢で踊る「側踊」も人数が縮小して4人になり、花笠を被って「すりざさら」を鳴らし踊るようになったということです。「すりざさら」とは、刻みのついた竹の棒を竹ヒゴを束ねたようなもので擦り、ざらざらという音を出す素朴なリズム楽器です。

 

 

東日本で隆盛した三匹獅子舞

三匹獅子舞の獅子がどうして太鼓を腹に抱え鳴らしながら踊るのかについては、風流踊から派生したものとして西日本に「太鼓踊」というものがあります。こちらは獅子頭ではなく花笠を被っているのですが、この太鼓踊が先にあってやがて獅子頭を被る獅子舞となって東国に伝播し、東日本で流行したということのようです。

この三匹獅子舞は、江戸時代になると幕府が置かれた江戸を中心に演じられるようになり、東国の各藩では特定の村に伝承させたと考えられています。特に江戸のある武蔵国(現在の東京と埼玉・神奈川の一部)では数多くの三匹獅子舞が分布していて、その数は300近くもあるということです。

江戸時代以降は地域の神社の祭礼として五穀豊穣や雨乞いなどの祈願、あるいはお盆やお彼岸など一年を通して様々な時期に演じられています。

 

 

獅子舞行列から始まる江古田の三匹獅子舞

東京で言うと、80ヵ所以上で三匹獅子舞が伝承されているそうで、その多くは奥多摩町など多摩地区にありますが23区内でも11ヵ所あるとのことです。

例えば中野区江古田の氷川神社で10月初旬に行われる例大祭では、旧江古田村第一の旧家であった深野家から出発し、町中を獅子舞が練り行列した後、境内で夜まで三匹獅子舞を披露します。この「江古田の獅子舞」は、江戸時代前期の慶安2年(1649年)に修験者から伝わったとされていますから江戸の三匹獅子舞のなかでもとても古く、3代将軍の徳川家光や8代吉宗も鷹狩りの際に上覧したということです。

この獅子舞行列では、3頭の獅子、4人の花笠のほか、獅子を囲む青龍・白虎・朱雀・玄武の四神、9名の笛方・花万灯・山車・太鼓、宮司や山伏、氏子の人たちなど総勢50名以上が加わる大規模なもので、江戸時代から変わらず続いています。

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