自分を見つめなおす旅のはずが散々なことに。最後に私を救ってくれたのは?
初めて入社した会社を退職した私は、自分を見つめなおすため、四国遍路を行うことにしました。
山あり谷ありのお遍路さんです
ツアーとも迷いましたが、事前の情報で、個々の寺はあまりすばらしいものではないと知っていたのもあり、歩き遍路にしました。
オフィスワークで体がなまっており、徒歩での遍路はなかなか辛いものでした。
運悪くツアーの客と日程が重なってしまい、そのお客さんに「昨日、雨の中電話ボックスで寒さしのいでたよね?」とか聞かれたり、だまされかけたりと色々ありましたが、なんとかこなし、ある”遍路ころがし”という難所にさしかかった日のことです。
山の頂上付近に寺がある大変けわしい山で、朝私と同じようにお四国さん(四国ではこういう)をしている方に車に乗っていくか?と誘われましたが、歩いてこそ、と断りました。
とにかく辛い歩き旅
歩きであんな思いをするなんて思ってもみなかったのです…足の遅い者は7時間はかかる難所と書いてあったのに…山は険しく、一度会った女性にはあっさり追い越され、正午になっても頂上どころか降りれる気配も無く、トボトボ歩きながらたった一人。
もちろん柵やロープなど気の利いたものもなく、足を滑らしたら崖から真っ逆さまの危険地帯。
山道には、「がんばって もうすぐだよ」という短冊がたくさん吊るしてありますが、全然もうすぐじゃありません。
正直、2月でしたが本日中の登山を諦め、山で一晩過ごそうか…そんな気分に陥ったときのことでした。
トボトボ歩いていると…視界の真上に杖を持った法師さまのようなものがぼんやりと見える!本当にぼんやりとですが…法師様が応援してくれているんだ、と私は考え直し、なんとか山頂の寺へと到着。
本当に奇跡のように力がわいたのです。
時間が過ぎていたのでご朱印はもらえませんでしたが…今晩泊まる予定のビジネスホテルは山の中でキャンセルしてしまっていたので、途方にくれていると、後ろから男性のお四国さんが現れ、事情を説明すると、「いい宿を知っているよ」と親切に教えてくれました。
心も身体も救われた宿
その宿は本当に暖かくて、女将さんもお四国さんの人たちもよい方ばかり。
美味しい食事をいただいて、暖かい布団にもぐりこんで、さあ明日も歩くぞーと思い、上を向いた瞬間、
あの杖をもった法師様が(ぼんやりとした姿ですが)天井から私を見つめている…!! あまりの疲れと眠さに「法師様、心配してついてきてくれたんだなー」と思っただけでそのまま熟睡してしまいました。
その次の日、宿に泊まっても法師様は現れず…。
安心してお帰りになったのかなあ、と思ったこれが私の不思議なお遍路体験です。