パパラチア~神秘的な輝きを放つサファイアの王様
オレンジとピンクの、ちょうど中間。その絶妙な色合いに誰もが心を奪われる石、パパラチア。
宝石の国として有名なスリランカで取れるその宝石は、コランダムという鉱物の一種で、サファイアの仲間です。大変珍しく価値が高いので、サファイアの王様と呼ばれています。
モース硬度はダイヤモンドに次ぐ9。硬い石特有の、冷たくまぶしい輝きを持っています。
パパラチアの意味
パパラチアとは、サンスクリット語で蓮の花という意味です。ヒンドゥーの女神サラスワティの台座は美しい蓮の花なのですが、その花の色に似ていることから名づけられました。
また、スリランカではパッパラージャと呼ばれることもあります。ラージャという言葉は王様をあらわしています。
パパラチアと呼ばれている宝石の中には、オレンジ寄りのものやピンク寄りのものがあり、オレンジサファイアやピンクサファイアと混同されている場合もあるので注意が必要です。
両方の色が混じりあい、チラチラとピンクやオレンジの光が見えるものだけを、パパラチアと呼ぶことができるのです。
完璧なパパラチアに心を奪われて
私はこれまで2つ、完璧なパパラチアを目にしました。
ひとつは、スリランカの都市コロンボにある仏教寺院の宝物殿の中です。僧侶に案内してもらったのですが、パパラチアのことを「力のある石」だと言っていました。寺院を建設するときに王侯貴族から贈られたのだそうです。権力の象徴としてパワーを発揮していたパパラチアは、今では宝物殿で静かに保管されています。
もうひとつは、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館に展示されていました。綺麗なケースの中でライトがあてられ、輝きを増していました。他にも数々の美しい宝石がいくつも展示してあったのですが、パパラチアの神秘的な輝きが一番印象的でした。離れがたいほど美しく、ずいぶん長い時間眺めていました。
パパラチアが持つパワー
それら2つのパパラチアには及びませんが、いくつかの石を手にしたことがあります。コロンボの宝石店をいくつもまわり、店にある一番良いパパラチアを見せてもらったのです。実際に手にすると、からだが熱くなった気がしました。嬉しさと興奮で血流が増したのか、宝石のパワーなのか、きっと両方が作用したのだと思います。良い石はなかなか手を出すことができないほど高価なのですが、いつかは必ず欲しい宝石の一つです。
本物のパパラチアはスリランカ産のみ
パパラチアには、権力、健康、愛情を引き寄せる強いパワーがあるとされています。身に着けると肌がぱっと明るくなるので、女性の美を増す力もあります。
マダガスカル産の、熱処理を施したパパラチアが出回ることがありますので注意が必要です。パパラチアはスリランカ産のみ。今でも大切に手で採掘されています。
石のパワーを感じたいのでしたら、1カラット以上のものを持つようにしましょう。私もいつか身に着けたい石、それがパパラチアです。