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シーサーの伝説…人食い森から村を護るために据えられた守護像

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沖縄の那覇市の隣にある豊見城市真玉橋(まだんばし)で、魔物の森から村を護るために設置された「シーサー」の伝説がありますので、ご紹介することにしましょう。

その魔物の森とは「ガーナー森(ムイ)」という名前で、森なのに自由に動き回っては近隣の村人を喰い殺していたそうです。

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腹が減ると動き回って周辺の村を襲うガーナー森

ガーナー森とは、現在の那覇市を走るモノレール「ゆいレール」の奥武山公園駅から東の方向に行き、那覇大橋の手前の右側奥に入ったところにある雑木林のことで、現在でもじっさいにあります。

このガーナー森、現在は陸にありますが、昔は広大な漫湖に浮かぶ島のひとつでした。この島はじつは悪魔とか怪物といわれるものであり、腹が減ると周辺の村々まで動いて行って農作物を荒らし、家畜を食べ人間をも襲っていたのです。

ですから周辺の村の人たちはガーナー森の襲撃を怖れ、為す術もなく逃げ惑うばかりでした。

 

天から降った大岩によって岩にされたガーナー森

ある日、ガーナー森は真玉橋の村へと向かって行きました。

このときばかりは村人たちは棒や鎌を持って立ち向かい、近隣の村からも大勢の人が加勢に加わります。

しかし、ガーナー森が息をひと吹きすると、激しい風が吹き荒れ、村人たちは木の葉のように吹き飛ばされてしまったのです。これにはどうしようもなく、人びとは喰い殺されてしまうのを覚悟しました。

するとそのとき急に空が暗くなり、天から大きな岩が落ちて来たのです。大岩はガーナー森のしっぽに命中し、動けなくなった怪物は大きな口を開けたまま岩になってしまいました。

 

ガーナー森の魔風を押し返すために据えられたシーサー

これは神様のおかげだと村人たちは喜びましたが、それもつかの間、岩になったガーナー森は大きな口から魔の風を真玉橋村に吹き出し、災いをもたらしたのです。

そこで真玉橋村では、この魔風に対抗して押し返すために、ガーナー森に向けて石で造られたシーサーを設置しました。

かつての漫湖に浮かぶ島であったガーナー森の写真を見ると、こんもりと盛り上がった林が胴体に、それにつながる細い砂浜がしっぽになった怪物のようにも見えます。今のガーナー森は先にもご紹介したように、周辺が埋め立てられて陸にある雑木林として現在もあります。またガーナー森を見張り続け、魔風から護る真玉橋村のシーサーも現存しています。

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