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沖縄の魔除けの守護獣「シーサー」のルーツとは?

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沖縄の方たちには言わずもがななのですが、本土から行くと沖縄に来たなーと感じさせるのは、気温の高さは勿論のこと肌に直接感じる南国の空気感、青い空と海、そしてどこにでも見かける「シーサー」の像です。

都市部では少なくなったのかも知れませんが、沖縄の家の独特の赤瓦。その瓦屋根の上にちょこんと乗っかる、口を大きく開け目をまん丸く見開くシーサーを、瓦の赤と背景の青空のあざやかな対比のなかで見つけると、これぞ沖縄という風情に包まれます。

魔除けの像であることがよく知られているシーサー、それではこのシーサーはいったいどんな由来で沖縄の魔除けの獣となったのでしょうか。

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シーサーという名前はどこから来たのか

シーサーは沖縄では「シーシー」とも呼ばれるそうです。シーサーまたはシーシーは、一般に知られるその姿のとおり「獅子」、つまりライオンを源流とするのがすぐにわかります。

沖縄では「シシ」とは肉を指す言葉で、その語源は狩猟で得られる獣の肉のこと。これは沖縄だけでなく、古代から日本でも使われていた言葉で、猪(いのしし)や鹿などの食用であった肉のことを言います。食用の獣を狩る「猪狩り」「鹿狩り」「獣狩り」を総じて「ししがり」と言うのは、ここから来ています。現代でも猪の肉を使った鍋料理(牡丹鍋)や鹿の肉による鍋(紅葉鍋)のことを、どちらも「ししなべ」と言ったりします。

つまり「シシ」とは獣のことなのですが、一方で同じ読み方の「獅子(しし)」は中国から来た言葉で、古代中国では西域のライオンがもとになった伝説の獣のことを指します。

 

古代の聖獣、獅子がシーサーのルーツ

「獅子舞」のルーツについての記事でもご紹介しましたが。古代の西域、オリエントやエジプトの獅子=ライオンは、百獣の王であると考えられると同時に神聖視されていた聖獣でした。また、日本ではあまり知られていませんが、インドにもインドライオンというアフリカライオンよりもやや小ぶりのライオンがいて、かつては中東アジアまで分布していたそうです。

ちなみにディズニーアニメやミュージカルで有名な「ライオンキング」の舞台はアフリカですが、主人公の名前は「シンバ」でシンバの幼なじみの白ライオンのヒロインは「ナラ」。インドの神話では「シンハ」とはライオンのことで、「ナラ」は人間のこと。この2つの言葉をつなげた「ナラシンハ」は、ヒンドゥー教の神ヴィシュヌのアヴァターラ(化身)のひとつで、ライオンの頭を持った獣人なのです。

話が横道に逸れてしまいましたが、このような神性を持った獣であるライオンが中国に伝わって獅子となり、やがて沖縄や日本へと伝わります。西域ではライオンのことは「シ」と呼ばれ、中国で「獅」の文字があてられ接尾語の「子」がついて「獅子」となります。

ライオン=獅子は大陸で守護獣の像となり、沖縄や日本に渡って来るわけですが、その辺についてはまた別の記事でご紹介することにしましょう。

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