『宇宙戦争』の原点~タコ型火星人と火星の運河
宇宙人や火星人、UFOの存在や、その他いわゆる「オカルトの領域」で語られている世界は、そもそも事実が常識として浸透していない、つまりは「多くの人々が納得できるような科学的な検証や裏付けが、世界レベルで進んでいない」ことを示しています。
火星人の姿のイメージが100年前の「タコ型火星人」のまま現代まで推移していることは、研究が進んでいないこと、さらにはもし事実が既に判明しているのだとすれば、国家的または世界的なレベルで、科学や経済、国家間のパワーバランスといった広い領域に影響する何らかの原因(おそらくは多分に政治的な原因であることが想定されます)が存在しているものとも受け取れます。
ともあれ、「タコ型火星人」というステレオタイプの火星人以外には、少なからず信ぴょう性のある仮説が提示されている事実は、今のところ存在していないように見受けられます。
火星の運河
そもそもかつて、イギリスのSF作家であるH.G.ウェルズが『宇宙戦争』でタコ型火星人が地球を襲うというシチュエーションを描くに至った背景には、1877年に火星大接近が観測された際に、イタリアの天文学者であるジョヴァンニ・スキアパレッリという人物が、人類史上初めて火星の表面の縞模様を観測したことが、もともとの出発点として存在しています。
スキアパレッリ氏が火星を観測した際に発見したという「火星の表面に見える縞模様」は、当時の解釈では「(地球的な解釈として)運河である」と結論付けられ、天体望遠鏡で観測できるほどの巨大な運河であれば、自然発生的にではなく人為的に作り出されたものに違いないと考えられて、そこから「知的生命体の実現可能性」が取り沙汰され始めたとされています。
当時運河とされた「巨大な縞模様」は、火星全体を縦横に網羅して作られているように見えることから、(当時や現代の建築技術を含めて)今存在している人類よりもはるかに進んだ建築技術を持った知的生命体が存在しているに違いないと考えられるに至ったのです。
見つからなかった生命体
しかし、その後100年余りの年月を使って、世界各国の火星探査プロジェクトが示した事実は、「火星には水分がなく、水分ありきで存在しているはずの生命体はまったく検知されない」というものでした。
惑星に生命体が存在する可能性を示す「惑星形成理論」という説明方法をもってしても、火星に生命体が存在する、または「かつて存在していた」、という証明は、未だなされていません。現時点では、火星人が実在する可能性は、非常に低いといわざるを得ないのです。