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ケンタウロス族はこうして生まれた!ギリシャ神話を紐解く

オリンピアのゼウス像
 
ギリシャ神話で半人半馬の種族「ケンタウロス」が生まれた由来。それは、テッサリア地方の神話のなかの民族である「ラピテース族」の、初代王ペリパースの孫であるイクシーオーンの物語に語られています。今回はその物語のつづきです。

前回のお話は、デーイオネウスの娘ディーアと結婚することになったイクシーオーンが、義理の父になるデーイオネウスを殺して、人間で初めての親族殺しとなって神々の怒りをかってしまうのですが、妻となったディーアが最高神のゼウスに懇願して赦しを受け、ゼウスの宴席に招かれたにも関わらず、今度はなんとゼウスの妻で最高位の女神であるヘーラーを誘惑しようとし、それがゼウスに事前にばれてしまったところまででした。

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火焔の車で永遠の罰を受けたイクシーオーン

ゼウスはイクシーオーンの企みを知ると、ヘーラーの姿に似せた替え玉を雲を使って作り、ヘーラーの寝所に置いておきました。イクシーオーンは酒に酔った勢いで宴会を抜け出し、ヘーラーの寝所に忍び込みます。そこにいたのは雲で作られたヘーラーだったのですが、イクシーオーンはそうとはわからず、思いを遂げてしまいます。

まさにその瞬間、ゼウスはイクシーオーンを捕らえ、オリュンポス十二神のひとりでゼウスの使い神であるヘルメースに命じて鞭を打たせます。そして、大地の下方の冥界ハーデースのさらに下にある奈落の空間タルタロスにイクシーオーンを送り、火が燃えさかる車にヘビで括り付けました。この火焔の車は永遠に回り続けて決して逃れることはできず、それは「イクシーオーンの車輪」と呼ばれるようになったのです。

人間で初めて親族殺しの罪を犯し、さらには最高神ゼウスの妻を誘惑しようとした野蛮で好色のイクシーオーンは、こうして逃れることのできない死よりも重い罰を受けることになったのでした。

 

ヘーラーの替え玉との間に生まれたケンタウロス

さて、ヘーラーの姿に似せて雲から作られた替え玉は、ネペレーという名で呼ばれました。ネペレーは実体を持った女性として、イクシーオーンの子供をもうけることになります。
そして生まれたのが、ケンタウロス族の祖先となるものだったのです。

このケンタウロスは、それから多くの雌馬と交わりを持って一族を増やして行きました。しかしその性質は、大もとの親であるイクシーオーンの性格を受け継いでおり、好色で野蛮な一族となったということです。

なお、ケンタウロスの母親であるネペレーはその後、テッサリアの王となったアイオロスの息子アタマースと結婚して子供をもうけることになります。このネペレーの子供たちには、ゼウスから贈られ牡羊座の由来ともなる黄金の羊の物語がありますが、それはまた別の機会にしましょう。

 

ケンタウロス族とラピテース族との因縁

この物語で語られるようにケンタウロスは、好色で野蛮な罪人イクシーオーンの血を受け継いだ、半人半獣の一族として生みだされたとされます。またケンタウロス族は、テッサリア地方のエーゲ海に面した山岳地帯にあるペリオン山というところに棲んだとされますが、イクシーオーンがテッサリア地方に勢力を持つラピテース族の王の一族であることから、ケンタウロス族とラピテース族は近親の一族であり、深い因縁があることになります。

ギリシャ神話には、後にケンタウロス族とラピテース族にまつわる大騒動も伝えられているのですが、その物語はまた別の記事でご紹介することにしましょう。

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