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イカじゃなかった?海の超巨大怪物クラーケンの正体とは

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近代や現代でも海洋で目撃されるという海の大型怪物に、「シーサーペント」と呼ばれるものがあります。「サーペント(serpent)」とはヘビのことで、海に棲む巨大なヘビまたは巨大で細長い未確認生物(UMA)のことを総称して言います。

シーサーペントは世界各地の海で目撃されたという証言がありますが、古代から巨大海ヘビや海龍の伝説があるように、このような大型怪物がいまもどこかで泳いでいるのかも知れません。

さてこのシーサーペントの巨大海ヘビをはじめ、巨大クジラや巨大海亀、日本の伝説に残る巨大赤エイなど世界各地では様ざまな巨大UMAの伝承がありますが、それでは海の巨大怪物の代表とも言える北欧の「クラーケン」の正体とは何なのでしょうか。

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クラーケンは巨大タコでも巨大イカでもない!?

別の記事でもご紹介したように、現代の映画作品などでクラーケンは巨大なタコやイカの怪物の姿で描かれます。しかしこれは、本当にそうだったのでしょうか。

船を襲うクラーケンのイメージとしてよく紹介される巨大なタコを描いた、18世紀のフランスの動物学者ピエール・デニス・ド・モントフォールの『軟体動物誌』に載せられた絵は、じつはモントフォールもクラーケンではなくオオダコとして紹介しているそうです。

また、クラーケンが広く知られるきっかけとなったエーリク・ポントビダンの『ノルウェー博物誌』(1752年)では、クラーケンには腕や触手のようなものがあるという証言から、ポントビダンはタコかヒトデの一種ではないかと考えたそうですが、浮上したその姿は島のように丸く平らで、どうも巨大タコとは思えません。

アイスランドで12?13世紀にまとめられた「伝説のサガ」に登場する「ハーヴグーヴァ」と「リンギバク」は、クラーケンの大もとと考えられていますが、その島と見紛う巨大な海の怪物は超巨大なクジラであると考えられていました。

 

クラーケンが巨大タコ、イカだとされた理由

つまりクラーケンが巨大タコや巨大イカであり、その何本もの腕で船を襲うというのは、あくまで18世紀以降に作られたイメージだと思われるのです。クラーケンによって船が遭難するのは、伝承に拠ればクラーケンが海中に沈み込むときにできる渦巻きや大波に巻き込まれるからなのです。

それではなぜ18世紀以降に、クラーケンが船を襲う巨大タコや巨大イカといった”頭足類モンスター”のイメージになったのでしょうか。それは特にヨーロッパ社会では南欧や地中海の沿岸地域を除き、日本と違ってタコやイカは庶民の日常生活で滅多に目にすることのないものでした。これら海の頭足類は、「デビルフィッシュ=悪魔の魚」と呼ばれて忌み嫌われたものであったことに、どうも要因があるようです。

それと同時に、17世紀後半から18世紀にかけての啓蒙主義の時代になると、自然科学と印刷技術が発達したことにより、図版が付いた出版物を通じて一般の人びとも見たことのない海の怪物に関心を持つようになりました。こうしてデビルフィッシュは巨大な海の怪物となり、それが伝説のクラーケンの正体であると考えられるようになったのです。

それでは、クラーケンの本当の正体は何なのでしょう。超巨大クジラか、超巨大海亀か、はたまた超巨大赤エイなのか、それともそれらとは異なる別の生き物なのか。それは今も解明されず、謎に包まれているのです。

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