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海の巨大怪物、クラーケンはどんな姿をしているのか

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北欧の海には「クラーケン」という海の巨大怪物が棲息していて、船乗りたちからは”海の魔物”と昔から怖れられていたそうです。
この魔物と呼ばれる海の怪物、はたしてどんな姿をしているのでしょうか。

ヨーロッパなどで古代から言い伝えられている怪物や魔物は、だいたいにおいてその姿や特徴が具体的に伝承されているものが多いのですが、クラーケンについてはどうもはっきりしません。別の記事でご紹介したように、実在する深海の大型イカである「ダイオウイカ」や「ダイオウホウズキイカ」がそのモデルになったとか、超大型のタコであるとかが一般的なイメージとして定着しているようですが、ほんとうにそうなのでしょうか。

大洋に現れる怪物であり、普通の人びとはもちろん船乗りでもめったに目にすることのない存在、襲われれば生きては帰れない怪物とされていますから、はっきりとその姿を伝える目撃情報がとても少なかったのかも知れませんが。

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クラーケンの巨大さは東京ドームの10倍以上!?

クラーケンが広く知られるようになったのは、18世紀の中頃にノルウェーのベルゲンの司教でデンマークのコペンハーゲン大学の総長代理でもあったエーリク・ポントビダンが、『ノルウェー博物誌』(1752年)という本の中で紹介してからのこととされています。

それではポントビダンは、クラーケンとはどんな怪物であると言っているのでしょうか。

彼は、クラーケンが世界最大の生き物であり、これまで浮き島だとされていたものがじつはクラーケンであるかも知れないと考えました。姿は丸く平らで、そのサイズは外周が2.5キロメートルほどもあると記述してます。

外周が2.5キロメートルとはどのくらいの大きさかというと、平らな円形だとすれば直径は約800メートル、面積は50万平方メートルにもなります。例えば東京ドームの直径が約244メートルで面積(敷地面積)が約4万6千7百平方メートルですから、その10倍以上の面積の大きさになるわけです。たしかにこんな巨大さならば、ちょっとした小島くらいはあるでしょう。

ちなみに実在する地球最大の動物であるシロナガスクジラの体長は、最も大きなもので30メートルクラス。また特撮映画の怪獣ガメラは巨大で丸いカメの姿をしていますが、その体長は80メートルと言いますからクラーケンと比べれば10分の1です。

 

漁師たちが語るクラーケンの証言

ポントビダンは漁師たちの証言を集めたそうですが、例えば本来は80から100ファゾム(尋/ひろ)つまり146メートルから183メートルくらいの深さがあるはずの海で、30ファゾム=約50メートルよりも浅い水深しかなく、タラやキングクリップ(大型の食用魚)といった魚が泳ぎ回っているような不自然な浅瀬は、この下にクラーケンがいる、と考えるのだそうです。

そして水深がさらに徐々に浅くなって行くと、それはクラーケンが浮上して来ているのであり、船を転覆させられてしまいますから漁師たちは安全な海域まで全速力で逃げるのだとか。

やがてクラーケンは浮上し海面上に現れるのですが、そのあまりの大きさに全体の姿をしっかりと見た者は誰もおらず、そして再び海中の潜って行ってしまうのです。しかもそのとき巨大な渦巻きが発生し、あらゆるものを海の中に巻き込んで行くのだそうです。

 

想像が難しいクラーケンの正体

わずかにその姿を見たという漁師の証言では、海上に現れたクラーケンは無数の小さな島々のように見え、その上を多くの魚が飛び跳ねているそうです。そして光るツノのようなものが現れ、クラーケンが浮上するにつれてそれは高くなり、中型の帆船のヨシ・コスモスマストほどにもなります。そのツノ以外にも、腕か触手のようなものが無数にあるともされます。

クラーケンは強烈で独特の臭いを放出することがあり、その臭いによって魚を集め捕食するのだといいます。また排泄を数ヶ月にもわたって行い、その排泄物で海は汚く濁りますが、その臭いによっても魚が集まりそれを捕食します。そのときには集まった魚をクラーケンの腕または触手を拡げて捕まえ食べるのだそうです。

エーリク・ポントビダンは、このようなクラーケンをタコかヒトデの一種ではないかと考えたそうです。身体から墨のような濁ったものを排出することや、多くの腕か触手があることからタコと考えたのかも知れませんが、どうもピンとこないのは私だけでしょうか。

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