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フランケンシュタイン誕生秘話!ディオダディ荘の怪奇談義

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『フランケンシュタインの怪物』を生み出したのは19世紀のイギリス人女性、メアリー・シェリーという人です。ゴシック小説あるいはゴシック・ロマンスと呼ばれるこの小説が初めて世に出たのは1818年。まだ女性の小説家が珍しかったこの時代、当初は匿名で出版されました。

ゴシック小説、ゴシック・ロマンスというのは、18世紀から19世紀初頭にかけてイギリスを中心に流行した小説の形式で、神秘的・幻想的・超自然的な題材を扱い、物語は謎や犯罪、追跡と逃亡などの緊張感に彩られています。城や館、教会、修道院といったゴシック建築の巨大な建物を舞台にすることが多く、その建造物のなかに潜む闇が人間の心の暗部を象徴し、恐怖を演出するといったものが多くあります。

これらゴシック小説、ゴシック・ロマンスは、後のホラーやSFにつながるとされ、もしかしたら日本のアニメやライトノベルなどにもその影響が見られるかも知れません。『フランケンシュタインの怪物』はゴシック小説、ゴシック・ロマンスの集大成であり、最後を飾る作品と言われ、またメアリー・シェリーはSF小説の母とも言われています。

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バイロンの別荘での怪奇談義に参加したメアリー・シェリー

それではこの小説が、どうして19歳の若き女性の手によって生みだされたのでしょうか。
その経緯は、世界初の吸血鬼小説の誕生についての別の記事でご紹介したことのある「ディオダディ荘の怪奇談義」がきっかけでした。

「ディオダディ荘の怪奇談義」とは、1816年のある日に5人の男女が、イギリスの著名な詩人であるバイロンが借りているスイス・レマン湖畔の別荘に集まって怪奇譚を披露し合ったという出来事です。

このときの男女とは、ひとりはもちろんバイロン。他の男性はバイロンの友人で同じく詩人のパーシー・ピッシュ・シェリーと、バイロンの若き主治医で友人のジョン・ポリドリ。そして女性は、妻帯者のシェリーの不倫相手で後に妻となるメアリー・ゴドウィン(メアリー・シェリー)と、メアリーと血のつながらない妹でバイロンと関係を持っていたクレア・クレアモントでした。

メアリーは、無神論者でアナキズム(無政府主義)の先駆者であるウィリアム・ゴドウィンを父に持ち、母はフェミニズムの先駆者と呼ばれるメアリー・ウルストンクラフトという、当時としてはかなり先進的な家庭環境に生まれています。少女の頃から文学に目覚め、詩人の恋人のシェリーとは父に反対されながらも17歳で駆け落ちし、このバイロンの別荘に行ったときには既にシェリーとの間に男の子をもうけたあとでした。

 

バイロンの別荘から生まれた2つの小説

妹のクレアは文学に関心がなかったのですが、他の4人が集まれば当然に文学や創作の話になります。そこでバイロンの提案で、皆でひとつずつ怪奇譚を創作しようということになり、バイロンが書いた短いエピソードを後にジョン・ポリドリが膨らませて小説にしたのが、世界初の吸血鬼小説である『吸血鬼(ヴァンパイア)』でした。

シェリーは創作を投げ出してしまいましたが、メアリーの方はこのときに着想したアイデアをこつこつと小説として書き上げます。そしてようやく2年後に出版したのが、『フランケンシュタインの怪物』だったわけです。つまりこのバイロンの別荘から、欧米の三大モンスターに数えられるうちの2つのモンスターの世界初の小説が誕生したのでした。

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