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イアトロ化学 – 錬金術、不老不死のゴールはまだ来ていない

イアトロ化学

錬金術の範疇で生まれ、世界中に存在するさまざまな価値観や宗教が内包している人間の究極の欲望のひとつである「不老不死」は、現代において、人的作業の自動化・システム化や、AIをはじめとした人間の思考の機械化、「モノ(電化製品や洋服、料理といった物理的な商品)からコト(現代日本の「モノ余り社会」に象徴されるような、少子高齢化による消費減退社会におけるサービスの在り方、またはモノ売り産業からサービス業への変革傾向)へ」という、宗教的というよりも、むしろ資本主義的なアプローチの源泉となった、非常に多面性を持った概念であると考えられます。

こういった普遍的な概念が、半ばオカルトチックかつファンタジックな領域で語られている錬金術から生まれていることは、人間の価値観の歴史的な変換において、注目に値するところではないでしょうか。

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イアトロ化学の本質

錬金術におけるイアトロ化学は、もっぱら「現代医学や化学の出発点である」とか、「生物としての人間の物理的な長寿を目指すもの」といった捉え方をされがちなのですが、その本質は、中世ヨーロッパの錬金術流行時に、伝説の錬金術師であるパラケルススが意図したという「アルケウス(物理的に存在している肉体以外の霊的なもの)」に内包されている、人間の本質的な欲求に根付いているものではないでしょうか。

そのため、医学や物理の世界という、仮説検証のアプローチに代表されるような、科学的かつ論理的な側面と、オカルトやファンタジーといった、非科学的な側面の両面をあわせもっている概念である、といえそうです。
この概念、ひいてはイアトロ化学自体が持っている「何か普遍的なもの」は、実は人間の存在意義であるとか、生物学的なサステナビリティ(日本語では「持続可能性」と訳されており、ビジネスや企業活動においても活用されているキーワードです)につながるものである、と考えられます。

まだゴールは見えない?

錬金術そのものや、錬金術の範疇で生まれたイアトロ化学が、発祥から非常に長い時間が経過し、科学技術が進歩した現代においても、未だに人々の関心を集め、話題にあがり続けているということが、逆に不老不死が内包しているもの、ひいては錬金術が究極的に目指していたものや、生物としての人間の存在意義、今後の人類の行く先、といったものを暗示していた、と考えられます。

科学の進歩により、かつては判然としなかったことの多くが、科学的論理的に説明できるようにはなっているもの、イアトロ化学の持つ多面性や、錬金術が目指していたゴールなど、まだまだ断定的な結論を出すには至っていないのではないか、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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