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錬金術に不老不死の概念をもたらしたイアトロ化学

イアトロ化学
中世ヨーロッパの錬金術師を代表する人物であるパラケルススは、もっとも知られた錬金術師であるとともに、現代の医学や物理学にも通じるような、重要な実績を持つ人物としても知られています。
パラケルススの功績は、その後の錬金術の歩みにも、後世に大きな影響を残しています。「賢者の石」に象徴される錬金術のイメージの中には、「卑金属を貴金属に変える」ことと並んで、「不老不死」というキーワードが含まれていますが、これは、パラケルススの概念をルーツとした、イアトロ化学の産物でもあるのです。

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不老不死研究の道中で残した実績

錬金術師としてのパラケルススには、「ホムンクルス(錬金術の世界でいうところの人造人間の呼称)を実際に作り出した唯一の人物である」、はたまた「賢者の石(不老不死や魔法など、あらゆることを実現できる力の源)を持っていた」など、錬金術を象徴するような、大変ユニーク性の高い逸話をいくつも残しています。

これは、パラケルススの伝説が、千年以上という長期間にわたり、語り継がれ続けていることに起因していると思われますが、彼が不老不死であるといわれ、時代を超えて存在し、目撃され続けていたという記録にも関係しているようです。

中世ヨーロッパの時代に実在し、その後20世紀頃にも目撃証言があるというパラケルススの存在自体が、イアトロ化学という概念を作り上げた、といっても過言ではありません。

もともとは物理的な願望だった?

紀元前に錬金術という概念が誕生した当初は、錬金術のテーマには「不老不死」というものは含まれていませんでした。
もっとも、エジプトのピラミッド然り、キリスト教創世記の旧約聖書に描かれている世界然り、人間の根源的な欲求のひとつとして、「不老不死」は人間にとって非常に普遍的な願望である、ということはいえるのですが、究極の願望に現実的な側面をあたえ、科学的な検証を試みるようになったのが錬金術であり、中世ヨーロッパ以降にパラケルススによって提唱されたイアトロ化学であった、ともいえます。

論理的な形で具体的に方法論にまで昇華しておらず、体系的な形にまで落とし込めていない人間の願望を、順序立ててより多くの人々に説明・アピールするための手立てとして、イアトロ化学は非常に有効であったとともに、脈々と続く人間の普遍的な生活(これは人間である限り、紀元前においても現代において何ら変わらない、宗教的な意味を含めた究極の志向でもあります)において、必然性をもって生まれてきたものである、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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