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スコラ錬金術 – 発展と影響力。スコラ学で錬金術を研究した人物とは

スコラ錬金術

中世ヨーロッパにおける、代表的な論理的問題解決手法のひとつであるスコラ学の発展は、それまで神秘主義的な要素が大きかった宗教の世界や、秘密主義的な要素を多く持っていた錬金術の世界に大きな影響を与え、ひいてはこんにちの宗教の宗派や、科学の発展にも多大な貢献があったもの、と思われます。

古代のヘルメス・トリスメギストスを始祖とする「ヘルメス思想」が、その手法や思想の大方を占めていた錬金術も、スコラ学の大きな影響を受け、スコラ錬金術と呼ばれる一大分野を生み出します。そんな中で、何人かの錬金術師(またはそれに類する識者)が登場しています。

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アルベルトゥス・マグヌスの錬金術研究

13世紀頃に活躍したドイツのキリスト教神学者であるアルベルトゥス・マグヌスは、スコラ学を用いて錬金術を研究した代表的な人物のひとりとして知られています。
1250年には、ヒ素を発見してこんにちの科学に多大な貢献をした人物でもありますが、スコラ学の手法の中で、錬金術に対して現実的な検証をおこなった、という功績も、注目に値します(これらの研究は、のちに「鉱物書」という著書にまとめられ、発表されています)。

著書の中でマグヌスは、それまではよく知られていなかった錬金術の手法を科学的に検証し、実際に錬金術をおこなって、金や銀に似た物質を生成することに成功したことに触れています。

しかしあくまでも「似た物質」であり、錬金術の中の「卑金属を貴金属に変える」ことについては、否定的であったようでした。しかし、当時の錬金術師達への影響は大きく、彼の名をかたった偽書が出回る、という事態もおこった、とされています。

異端を再利用したトマス・アクィナス

アルベルトゥス・マグヌスと同時代、13世紀のイタリアの神学者、トマス・アクィナスも、錬金術界隈では知られた人物です。アクィナスは、カトリック教会に当時存在していたという33人の教会博士のひとりとされ、その権威は絶大だったようです。

スコラ学誕生以降、新しい価値観に対する古い概念は「異端」とされ、良い解釈をしない方向性を持つ識者が多く存在していたのですが、アクィナスは、古代ギリシャ・ローマ時代のアリストテレスやプラトンといったかつての賢人たちの思想をアレンジし、キリスト教の神学的解釈に加えていきました。

占星術や錬金術といった、スコラ学における「不確かなもの」についても一定の評価があったようで、キリスト教における「神の領域」と、賢者が唱える「哲学的な領域」の融合点として、占いや錬金術をとらえていた、とのことです。

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カテゴリ: その他

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