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スコラ学と並行して深化していったスコラ錬金術

スコラ錬金術

キリスト教界隈の学問のスタイルとして、スコラ学というものがあります。
スコラ学は、11世紀以降の中世ヨーロッパ(主に西ヨーロッパ)で、当時東西に分裂したキリスト教会のうち、西方教会によって確立された学問のスタイルで、神学や哲学を学ぶ際には「スコラ神学」や「スコラ哲学」といった表現で、スコラ学に則っておこなわれていることをあらわしています。
そんな中で、錬金術についても、「スコラ錬金術」という呼ばれ方をする場合がありました。

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中世ヨーロッパの主流の錬金術

錬金術の概念自体は、紀元前のアレキサンドリアにそのルーツを見ることができますが、スコラ錬金術は、キリスト教の東西分裂と、スコラ学の確立以降に、その影響を受けて発展した錬金術です。

キリスト教の東西分裂の原因は諸々ありますが、少なくとも分裂以前の原始キリスト教は、多分に密教的神秘的な側面を持っており、未だにその功績が判然としていない錬金術という概念とも、ある程度の親和性を保っていました(実際、分裂以前のキリスト教の教義は、紀元前2世紀頃には存在していたという伝説の錬金術師であるヘルメス・トリスメギストスの名を冠した、「ヘルメス思想」と同様の神秘主義的な概念を多く含んでいます)。

しかし、キリスト教の東西分裂、スコラ学の台頭により、それまでキリスト教が持っていた神秘的な要素は、(少なくとも西方教会においては)明確に排除されていきました。排除の結果、実存主義や、現在の科学的実証スタイルの原型ともいえる、スコラ学が発展したのです。

理詰めの結論を導き出すための手法

スコラ学の大きな特徴として、「問題点を抽出し、その回答を理詰めで積み上げていく。その過程において発生した矛盾は、やはり理詰めで解決する」というところがあげられます。

たとえば、奇跡や生まれ変わり、時間軸を無視した単純な説明など、キリスト教において(キリスト教に限らず原始的な宗教の概念では、科学的な側面から見た場合の矛盾を多くはらんでいます)、それまでは「神秘的」な要素として科学的な説明や解明が一切なされていなかった部分に対して、その時点で持ちうるさまざまな実証的根拠を用いて論理的に解明し、矛盾を解決していく、といったものです。

スコラ学は、この手法を導入しようとする賛成派と、それまでの神秘主義を重視する反対派を生み出し、こんにちにもつながるような、キリスト教の大きな分裂の起点となりました。当時神秘主義の最たるものであった錬金術も、その影響を受けることになります。

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カテゴリ: その他

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