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麒麟は西方からやってきた?ペガサス、ユニコーンとの関係は

麒麟

「麒麟(きりん)」のその姿は、頭に1本のツノを生やした大型の鹿のようであり、また古代の中国大陸では鹿の麒麟と同時に馬の「騏驎(きりん)」もいて、その馬型の騏驎は両肩に羽を生やした姿の場合もある、ということを別の記事でご紹介しました。
大型の鹿や馬は、古代よりユーラシア大陸の北方の領域に住んだ遊牧の人びとにとってとても大切で、かつ尊崇すべき動物です。その文化は東北アジアにも及んでいました。

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大切な動物が神獣になっていったのか?

ちなみに、東洋の龍の起源のひとつとされる古代中国大陸の「遼河文明」(紀元前6200年頃から紀元前500年頃)では、鹿の頭を持った「鹿龍」も存在していました。また、もっと後代になりますが、魏晋南北朝時代(221年から581年)の古墳からは同じ古墳から発見された四神の「青龍」と良く似た馬型の騏驎の図も見つかっています。

このように鹿や馬といった、遊牧の民にとって大切で尊い動物が霊獣である麒麟や騏驎、あるいは龍へとなっていったのでしょうか。
またその鹿や馬というベースの姿に合わせて、頭の1本のツノ、馬型の騏驎の羽というのも、とても気になるところです。

麒麟とユニコーン

頭に1本のツノを生やした伝説の生き物というと、すぐに思い浮かぶのが「ユニコーン(一角獣)」です。
ユニコーンは古代のギリシャ、ローマからヨーロッパへと伝えられた幻獣ですが、ギリシャの歴史家クテシアス(紀元前4世紀)によると、もともとはインドにいる1本のツノを持ったロバなのだそうです。しかしその源流は、メソポタミアなどの古代オリエントにあるとも言われています。

その後ユニコーンは、ヨーロッパではライオンの尾を持ち青い目をした白い馬の姿で描かれることが多くなり、ただし蹄(ひづめ)は2つに割れているのだとか。馬や馬科のロバは、奇蹄類(蹄が奇数)といって蹄が割れていません。一方で鹿は偶蹄類で、蹄が割れています。

逆に麒麟の蹄は馬のように丸く、これは仁の徳を持った「仁獣」として生命を慈しみ地上のものに傷をつけないためなのだそうです。
このような細かい違いはあるものの、麒麟とユニコーンが古代のオリエントを源流として東西に伝わったのでは?という説もあります。

ペガサスとも関係があるのか?

また、翼を持ち空を飛ぶことができる馬「ペガサス(天馬)」と、馬型の騏驎との類似も気になります。

ペガサスはギリシャ神話に登場する伝説の生き物で、海の神ポセイドンの子を身籠っていた怪物のメドゥーサをペルセウスが倒したとき、その首の切り口から生まれたとされます。その後、ポセイドンから英雄のベレロポーンに与えられ、ベレロポーンはペガサスを駆って数々の武勲を立てますが、やがて増長して神の国まで昇ろうとし、怒ったゼウスが放った虻がペガサスの鼻を刺してペガサスはベレロポーンを振り落としてしまいます。ベレロポーンは墜落して死に、ペガサスは天に昇って星座となりました。

ペガサスと翼を持った馬型の騏驎とに関係性があるのかどうかは良くわかりませんが、ユニコーンやペガサスという西方の伝説の獣がアジアへと伝播したのか、あるいはユーラシア大陸の東西に広がって同じような伝説や神話が共通してあったのか、まったく無関係とも思えないところもあります。

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