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龍の色の謎 – 最も古い龍の存在は紅色だった?

青龍

天と大地の東の方位を司る四神の霊獣(神獣)である「青龍」。誰もが良く知る龍のなかでも、なぜ青い龍なのか?また、龍はなぜ青い色になったのか?今回はそれらの謎について探ってみたいと思います。
ちなみに青龍の「青」とは、わたしたちが普通にイメージするブルーではなく、本来は草などの植物の色をイメージした緑色です。また四神のもとになる古代中国の「陰陽五行思想」によれば、龍もまた五行に即した5色の龍、青龍に加え「赤龍」「黄龍」「白龍」「黒龍」がいることになります。

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7000年前の古代遺跡から発見された赤い龍

青龍の色の謎を探る前に、この地球上で龍の故郷はどこなのかについて簡単に辿ってみることにしましょう。龍には西洋の龍(ドラゴン)と東洋の龍がいるのはみなさんご承知だと思いますが、それらの起源は古代の中国、インド、またメソポタミアなどのオリエントに求められるとされます。

青龍はもちろん東洋の龍、つまり中国が起源となるわけです。その中国でも最も古い龍の存在を示したものが、現在の中国の内モンゴル自治区から遼寧省にかけての遼河流域に存在した、新石器時代の「興隆窪(こうりゅうわ)文化」(紀元前6200年頃から紀元前5400年頃)の遺跡から発掘されています。

それは、今から8000年も前の「揚家窪(ようかわ)遺跡」で発見された、地面に石を並べて形作られた2匹の龍。この龍の色は石組みなのでわかりませんが、更に興隆窪文化後期の7000年前の遺跡である「査海遺跡」から発掘された土器片には、紅色の龍の姿が浮き彫りされていました。また同じ査海遺跡では、赤褐色の石が積まれた長さ19.2メートル、幅3メートルの龍のかたちをした石組みも発見されています。

龍の色はもともとは赤色(紅色)だった?

そう、こんにち確認されている最も古い龍は、紅色の龍だったのです。
「陰陽五行思想」による四神の青龍や、同じ五行説からきた5色の龍は、五行思想が中国の戦国時代(紀元前4世紀から3世紀)以降のことですから、それよりも遥かに古い古代の龍は赤龍(紅龍)ということになります。

査海遺跡からは、墓地の遺体の耳につけられた中国最古のヒスイなどの玉(ぎょく)製品も発掘されていて、龍とその龍が好む「玉」がともに見つかったことから「玉龍の故郷」とも言われているそうです。
同じく中国北方の「趙宝溝(ちょうほうこう)文化」(紀元前5400年頃から紀元前4500年頃)の小山遺跡からは、鹿やイノシシ、鳥の頭を持った龍が描かれた土器も見つかっています。

そのあとの時代の、同じく遼河流域に栄えた「紅山文化」(紀元前4700年頃から紀元前2900年頃)でも龍の姿は見つかっていて、玉製品であるヒスイで作られたイノシシやブタの姿をした「猪龍」「豚龍」といった不思議な龍が発見されています。

これらの古代文化は総じて「遼河文明」と呼ばれていますが、この遼河文明から生まれた龍の大もとは、紅色の龍であり猪や鹿などの頭を持った龍だったのです。それではそれらの龍から、どうして空を駈ける青龍は生まれたのでしょうか。

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