四神とは?大地と宇宙には四種類の神獣がいる
いまはだいぶ落ち着いてきたようですが、1990年代頃より日本で「風水ブーム」が起こりました。風水というのは、主に土地の相(地相)と「気」の流れの「陰」と「陽」を判断して、その土地に住む人に降りかかるかも知れない災厄を防ぎ、幸運を導こうというものです。
風水は紀元前10世紀よりも古い中国まで遡る
風水の大もとは古代の中国大陸で、紀元前10世紀よりも古い殷(いん)や周の時代にまで遡ると言われています。特に香港やマカオではその伝統が脈々と受け継がれ、建物を建てたり何か大きな決断をしたりする際には人々は風水の考えに従うなど、現代の生活や社会にしっかり根付いているそうです。
さてこの風水ですが、いまの日本でブームが起こる遥か昔に大陸より既に伝わって来ていて、実は奈良の平城京や京都・平安京から江戸つまり東京に至る日本の首都建設に、大きな影響を与えていたということが知られています。
都を護る四神相応とは?
風水では、その土地に流れる大地の「気脈(気の流れる通り道)」を読み取り吉凶を判断しますが、その気脈を読むための基本とされるのが「四神相応(しじんそうおう)」です。
四神相応とは、天と大地の4つの方位を司る「四神」という4種類の霊獣が存在するに相応しい地勢や地相のことです。
4つの方位とは東西南北の方角ですが、その土地の東西南北をそれぞれの四神が司る地勢や地相に囲まれていれば、そこは四神に護られた吉運と繁栄をもたらす土地であり、そこを国の都とすれば国全体が栄えるという考え方から、平城京や平安京、江戸は建設されたのだそうです。
それでは四神という霊獣と、その四神が司る地勢や地相とはどんなものなのでしょうか。
四神と四神相応の地勢・地相
現代の風水ブーム以降、日本でも良く知られるようになった四神ですが、あらためてご紹介することにしましょう。
●青龍
東西南北のうち、東を司るのが「青龍」です。青龍に相応する地勢は「流水」つまり大きな川で、平安京で言えば鴨川がそれにあたります。
●白虎
西を司るのは「白虎」。白虎の地勢は「大道」つまり大きな道で、平安京では山陰道だと言われていますが、つまり西国に伸びる道です。
●玄武
北を司るのは「玄武」で、蛇が絡み付いている長い足を持った亀の姿で描かれます。玄武の地勢は「丘陵」で、平安京では京都北区にある船岡山だとされています。
●朱雀
そして最後に南を司るのが「朱雀(すざく)」。朱雀は中国の伝説上の神鳥で、地勢は「湖沼」。平安京では現在は埋め立てられてありませんが、かつて宇治川が流れ込んでいた巨椋池という大きな池がそれにあたります。
私たちの身近な場所に潜む四神の謎
このように四神相応では、4種類の大地を構成する地勢・地相と相応していますが、四神は土地ばかりでなく陰陽や色、季節、五行(万物の元素)、天体の区画など、あらゆるものに相応しているのだとされました。つまりこの宇宙と四神がつながっているという、雄大な考え方であり、私たちが普段気づかないごく身近な場所にも四神の謎が潜んでいるのです。
それではこれからその四神の謎を、主に日本を舞台に探って行きたいと思います。