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不老不死をめざして……アレキサンドリアの錬金術とミイラ

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「世界最古の錬金術」、「錬金術発祥の地」として知られる古代アレキサンドリア、つまり今のエジプト周辺の錬金術は、後世の錬金術と同じテーマで研究がなされていたもの、と思われます。

錬金術が掲げる「卑金属を貴金属に変えること」、そして「人間を不老不死に変えること」というテーマこそが、人間の普遍的な欲望を具現化したものであり、現代医学のルーツにもなりうるものでした。

今もその概念は引き継がれている当時の宗教観は、「人間の魂は永続的であり、肉体を維持すれば、永遠の命が得られる(または魂が復活する)」、といったものでした。この宗教観と錬金術の思想は、実は非常に近しいものなのです。

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ミイラのルーツは錬金術?

エジプトといえばピラミッド、ピラミッドといえば巨大な建物や内蔵されていた金銀財宝、そして人間のミイラが連想されます。ミイラは、錬金術思想と、前述の当時の宗教観があわさって開発された究極の「人体保存方法」であり、錬金術研究から派生した技術なのではないか、といわれています。

錬金術が掲げる「不老不死」の概念の中には、「人間が永続的に死なない」という目標のほかにも、「人間自体を作り出す」という目標もありました。フラスコの中で生きるという「ホムンクルス」の存在が象徴的です(ホムンクルスとは「人口生命体」の一種で、錬金術を描いたアニメで一躍知られることとなった、中世ヨーロッパにおける錬金術研究の対象のひとつです)。

ミイラは「医学的には死んでいるが、錬金術思想や宗教観においては死んでいない存在」として、人工的に作り出されたのではないか、と考えられます。

 

保存方法はすでに現代の水準に

このように作成されたミイラですが、エジプトで発見されたミイラに見られるように、現代の科学技術を使用していないにもかかわらず、死後数百年単位の期間を経過していても、ミイラの物理的な状態はほとんど変わっていません。

現代医学においては「エンパーミング」と呼ばれる死体保存方法は、古代アレキサンドリアの錬金術の時代から、原理的には変わっていないようです(修復、乾燥、防腐というプロセスを踏む、とのことです。このなかで、血液や内臓を取り除いたうえで縫合などの修復をおこなったり、保存状態を一定に保つための環境つくりなどがおこなわれます)。

古代アレキサンドリアにおける宗教的な復活思想や、不老不死を目指した錬金術が、一度は死んだものとされている人体の保存方法を発明したとしても、何ら不思議ではありません。

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カテゴリ: その他

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