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「賢者の石」のレシピ?近年発見されたニュートンの写本


 
2016年、アメリカはペンシルバニア州フィラデルフィアに拠点を持つNPOである化学遺産財団が、ある文書を購入しました。これは、17世紀頃に、物理学者のアイザック・ニュートンが手書きであの「賢者の石」のレシピを書き写した写本である、とされています。

ニュートンほどの著名な人物の写本、それも「賢者の石」というファンタジー分野の文書が、なぜ今頃になって脚光を浴びているのでしょうか。

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レシピが化学遺産財団の手に渡った経緯

化学遺産財団は、1982年、アメリカ化学会とペンシルバニア大学に設置された化学史センターが発端となって、1992年には化学遺産財団と改名され、現在に至っています。

その建物には博物館も併設していて、歴史的に重要とされている、数々の器具や文書などを所蔵・展示されている、とのことです。このひとつに、今回財団が購入したという写本が加えられています。

中世ヨーロッパの時代、ニュートンは、錬金術に関する研究を熱心におこなっていたのですが、その後化学者・科学者の間で、「ニュートンと、(疑念に満ちた)錬金術を関連付けることは好ましくない」との判断が働きました。実際ニュートンの母校であるケンブリッジ大学は、ニュートンが遺した錬金術関連の書類の所蔵を拒否していた、とのことです。

このことから文書のほとんどは個人コレクターの手に渡ってしまい、行方知れずでした。その一部が今回見つかり、化学遺産財団の手に渡ったのです。

 

錬金術師ジョージ・スターキーのレシピ

ニュートンが書き写したとされる写本のもとは、ニュートンと同時代に生きていた、ショージ・スターキーという当時の錬金術師が著した文書である、といわれていて、その内容は、いわゆる「賢者の石(錬金術の世界では、不老不死や、卑金属を貴金属に変えるための物質である、とされています)の作り方」であったようです。

「賢者の石」は、別名「哲学者の水銀」といわれてるとおり、ジョージ・スターキーのレシピには、「水銀のワシ」や「炎のドラゴン」、「女神ダイアナのハト」など、一見何のことかわからないような文言が並んでいます。写本では、これらの元原稿に対する、物理学者ニュートンの見解も、走り書きのように随所に記載されているそうです。

もともと錬金術の文書や考え方は秘匿性が高く、半ば暗号のようなもので記載されていることが多いことから、明晰な頭脳を持ち、物理学者としての見識をも持ち合わせているアイザック・ニュートンによる文書の解析は、化学遺産として非常に価値の高いものである、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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