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ニコラス・フラメルと奥義書『象形寓意の書』

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中世ヨーロッパの伝説の錬金術師のひとり、ニコラス・フラメルは、1330年頃にフランスはパリのボントワーズという町で生まれた、といわれています。

もともと代書や写本等をおこなう職人として活動していたのですが、ある晩に見た夢を皮切りに、こんにちの「伝説の錬金術師」という名声を手にすることになります。

ニコラス・フラメルが見た夢の中で示された書物こそが、のちに錬金術のバイブルとなる『象形寓意の書』でした。

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天使から手渡される書物

ニコラス・フラメルは1357年のある日、夢の中で書物を手渡そうとする天使に出会っています。その後しばらく経ち、夢のことも忘れかけたころに、彼を訪れた旅人から譲り受けた書物は、かつてニコラス・フラメルの夢の中で天使が手渡そうとしていたその本でした。

これが『アブラハムの書』であり、のちに『象形寓意の書』として、錬金術の世界のバイブルとなり、現代における化学者や宗教者を含めた、おびただしい数の関係者が一度は手にする「伝説の書物」となったのです。

 

文字と寓意図で表現された書

『象形寓意の書』は24葉からなり、文字だけではなく、不思議な寓意図(=なんらかを意図して象形文字のようなもので表現されている図)で表現されていました。

もともと出版関係の職業に就いていて、当時としては非常に高い教養を必要とする仕事といわれていたこともあり、ニコラス・フラメルは寓意図を含めてある程度は理解ができたようです。

この書物から錬金術の奥義の予感をくみ取った彼は、妻ペルネルと共に、20年の歳月を費やして、『象形寓意の書』の謎を解き明かそうとします。

ニコラス・フラメル夫妻は、「この書物には、錬金術の奥義ともいえる、不老不死や卑金属の貴金属化の方法が書かれている」との信念のもと、パリの識者は宗教人などへの相談を含めて四方八方に手を尽くしますが、どうしても判明しない部分が残ってしまいました。ニコラス・フラメルは、未確認の部分を検証すべく、巡礼の旅に出ます。

 

財力からの憶測説も?

スペインへの巡礼後、夫妻はフランスで数々の寄進や寄付をおこなっていますので、フランスへの帰国後、相当な財力があった、と見ることができます。

この結果、当時の人々は、「夫妻が錬金術に成功して財を築き、不老不死をも手に入れている」、と考えました。

この憶測を含めた伝承が、こんにちの錬金術のイメージや、『象形寓意の書』の位置付けにつながっているのです。

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カテゴリ: その他

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