ハリーポッターと賢者の石に登場する錬金術師ニコラス・フラメルとは?
イギリスの作家であるJ・K・ローリングが1997年に発表した児童小説『ハリーポッターと賢者の石』は、当時まったくの無名の作家の作品にもかかわらず、あっという間に日本を含めた世界中でベストセラーを記録し、映画にもなって大ヒットしました。
1990年代のイギリスを舞台として、魔法使いの学校での日常や、主人公ハリーポッターの両親の死に関連する敵、闇の魔法使いヴォルデモートとの長きにわたる因縁の戦いを描いた作品なのですが、そのモチーフには、今もさまざまなミステリーを投げかけている錬金術が使用されています。
そして作品には、錬金術の世界で「伝説の人物」といわれる、ニコラス・フラメルが登場しています。
賢者の石を作った人物?
ニコラス・フラメルは、『ハリーポッターと賢者の石』において、そのタイトルにもなっている「賢者の石」を作ったという重要な位置付けを持つ人物です。彼の作った賢者の石は、作品の舞台になっているホグワーツ魔法学院に保管されている設定となっています。
中世ヨーロッパの時代、錬金術が大流行していたのですが、賢者の石は、当時の錬金術が目指していた「人間の不老不死」を実現するための万能薬として、どの錬金術師もその精製を目指した、といいます。しかし、どの錬金術師も作成可能、というものではなかったようで、賢者の石の作成に成功した数少ない錬金術師の代表的なひとりが、ニコラス・フラメルその人であった、とされています(一説によると、「唯一賢者の石の作成に成功した錬金術師」との伝承も存在しています)。
当時の錬金術師としては、スイスのパラケルススと並んで、「もっとも有名で、多くの錬金術師が憧れ、目標として掲げていた錬金術師」である、といっても過言ではないでしょう。
ニコラス・フラメルは665歳!?
実際作家のJ・K・ローリングは、星の数ほどいるといわれる錬金術師の中から、ニコラス・フラメルを自身の作品に登場させています。
作品の中でのニコラス・フラメルは、賢者の石をベースとして精製される「命の水」を飲んでいたため、彼自身とその妻は非常な高齢である、という設定となっています。1992年時点での彼らの年齢は、なんと665歳(またはそれ以上)であった、といいます。
実在する人物としてのニコラス・フラメルの記録では、1330年に生まれ、公式には1418年に一度死亡しているようですが、300年後にもパリに「住処」が存在していて、ヨーロッパ中の錬金術師がひっきりなしに訪れていた、とのことです。