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パラケルスス~近代医学の発展にも貢献した錬金術の父

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大学卒業後、後に「パラケルススの大遍歴」と呼ばれる、8年にもおよぶ遍歴を敢行したパラケルススは、現代医学に多大な影響を与えるようないくつかの功績をあげています。

ヨードチンキや赤チンなどに代表されるチンキ剤や、今でもたびたび社会問題としてとりあえられることのある梅毒の治療の研究をはじめとして、中世ヨーロッパの時代ではまだそれほど重視されていなかった外科医学にも着目しています。

パラケルススの錬金術師としてのキャリアのベースには、大遍歴時代をはじめとした医学的な知識獲得への好奇心や使命感があり、このことが錬金術の基盤構築につながっていった、と考えられます。

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外科医学の発展に貢献

現代では代表的な医学的アプローチのひとつとして浸透している外科医学ですが、中世ヨーロッパ時点では、それほど有効なアプローチである、とは考えられていませんでした。

パラケルススは、チンキ剤や梅毒治療のみならず、医学的に軽視されていた外科の技術についても、彼の大遍歴時代に戦争状態にあったヨーロッパでは対応が必然であったところもあって、熱心に取り組んだ、とのことです(外科医学については、大遍歴に道中で「近代外科医学の父」といわれるパレと出会い、影響を受けたという記録があります)。

パラケルススはこの時期に、錬金術師としての知識をも深めています。医学的な実践アプローチが、錬金術としての知識のベースになっているからこそ、錬金術が近代医学のベースに成り得た、といっても過言ではありません。

 

ヘルメス哲学とパラケルスス

医学と錬金術の橋渡しに欠かせない古文書として「ヘルメス文書」をあげることができます。この文書のベースとなるヘルメス哲学は、錬金術に着目した医学者の間で着目されていたのですが、パラケルススも深く傾倒していたようです。

ヘルメス哲学とは、人または神として、数百年間、三代に渡って存在し続けたといわれる錬金術の象徴的な存在、ヘルメス・トリスメギストスによって拓かれた思想です。このヘルメス哲学と、大遍歴によって培われた実践医学を結びつけたパラケルススの功績は非常に大きなものでした。前述のチンキ製剤や梅毒治療、実践外科医学に加えて、呪文や護符の効用、ヘルメス哲学のベースにもなっていたネオプラトニズムやグノーシス主義などが混然一体となって、錬金術の基盤が築かれていったのです。

しかしその後パラケルススは、神学論争を巻き起こしたり、貴族や教会に対する民衆蜂起を指揮して反社会的な存在の急先鋒として目されてしまったりと、錬金術のイメージそのものともいえる、数奇な人生を歩むことになりました。

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カテゴリ: その他

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