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カバラの概念と最後の錬金術師フルカネリの仮説


 
「最後の錬金術師」といわれている、20世紀に実在したとされるフランスのフルカネリが、錬金術の奥義と関連して精通していた概念がカバラなのですが、その発祥は紀元前数千年ともいわれ、しかもこんにちの世界宗教の半数以上に関連しているという、相当に普遍的な概念です。

カバラは、単なる神秘思想の枠組みにとどまることなく、現代に生きている多くの人々の意識の根底に根付いているもの、と考えられます。

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秘匿性が高い概念カバラ

フルカネリは、紀元前から存在し、中世ヨーロッパにおいて飛躍的に広まった錬金術の伝承者として知られていますが、錬金術の秘匿性は高く、結果現代人のほとんどが、「錬金術などありえない、過去の妄想の産物である」との見方を持っています。

カバラについても同様で、(旧約聖書などで概念に触れられているところを除くと)いわゆる一般人にその奥義が公開されることはなく、カバラが何を示していて、どのような前提条件があり、具体的に何を起こしうるのか、というところは、あまりにも知られていません。

錬金術とカバラは、基本的に「秘密の教え」であることで共通点を持っていて、いわゆる「ヘルメス文書(現代ではオカルトという領域でとらえられることが多い文書)」など以外では公開されていないところが、ヘルメス思想に奥行きを与え、フルカネリの神秘性に拍車をかけている、といえそうです。

 

ユダヤ教由来であるが故に秘匿性が高い?

こんにちでも頻繁にいわれている噂話や都市伝説の類に、「ユダヤ世界コントロール説」があります。日本でもこの手の話はよく聞かれ、フリーメーソンや薔薇十字団、そしてあのナチスドイツといった秘密結社もしくは政治集団において、ユダヤ云々が取りざたされることがよくありました。

前述の「モーゼ文書」も紀元前(=キリスト教以前)、つまりユダヤ教がキリスト教に移り変わっていった時代より前の時代の文書、とされています。フルカネリが精通していたという錬金術、カバラ、非常に限定された伝承性、そしてユダヤというキーワードから考えられること、これこそが錬金術が体現している西欧神秘思想、ひいては西欧の秘儀体系の根底にあるものではないか、と思われます。秘匿性が高いが故に、さまざまな解釈が可能となり、そのうちのひとつが、フルカネリが提唱したという「ゴシック建築にこそ、錬金術やカバラの隠された真実がある」という仮説だったのではないでしょうか。

錬金術は、科学的ないし化学的アプローチのフレームワークである「仮説検証」を即すための、汎用的な概念のひとつであったのかもしれません。

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カテゴリ: その他

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