> >

超人陰陽師・安倍晴明と式神の謎。十二天将とは?

安倍晴明

「今昔物語集」や「宇治拾遺物語」など、昔の説話物語に伝えられた陰陽師・安倍晴明の不思議な伝説には、陰陽師が使うものとして「式神(識神)」が登場します。

スポンサードリンク

 

式について改めると?

安倍晴明と式神については、これまでにも別の記事でもご紹介したことがありましたが、今回は別の視点からその謎を探ってみることにしたいと思います。
あらためて書きますと、式神の「式」とは「使う、用いる」という意味です。また、目的や意図に対して何かの結果を得るための、「計算式」や「方程式」の「式」と同じでもあります。

 
安倍晴明は、式神をもって人間や生き物を殺めることはよくないことで「無益なこと」と言っています。しかし、市井で活動していた陰陽師のなかには、誰かを怨んだでいたり陥れようとする意図を持った人のために、「式を打つ」つまり呪詛を行い式神を操って目的を達成しようとする陰陽師がいたのかも知れません。

 

 

陰陽師が行う式占とは

宇治拾遺物語のお話で蔵人の少将の頭の上に糞を落としたカラスのように、式神は必ずしも人間の姿かたちをしていたわけではありません。空から糞を落とすという呪詛の意図をもって打たれた式が、カラスの姿となって飛んできたのです。

 
カラスに糞を落とされるというのは、その後に生命を狙われる前触れの災難だったわけですが、陰陽師はこのような災難や呪詛を事前に知るために「式占(しきせん)」という占いを行いました。
式占には「式盤(六壬式盤)」という、北斗七星を中心に天を表す円形の天盤と、地盤と呼ばれる地を表す方形の盤が組み合わされた器具を用いました。この天盤と地盤によって天地の動きを読み取り、これから地上で起こることを予測したのです。

 
天盤の上には、1年間の1月から12月までを象徴する神である「十二月神将(じゅうにげつしょうじん)」が配置されており、さらにはそれに天の星座を象徴する気の神である「十二天将(じゅうにてんしょう)」を合わせ、それら天の神々に地盤の十二支などの要素を組み合せて占います。つまり、地上に天の十二月神将や十二天将といった神々を呼び出すわけで、式占とは神々を式盤に呼び出してこれから起こるであろう物事を知る占いということでした。

 

 

安倍晴明の最強の式神・十二天将

陰陽師が使う式神とは、どうやらこの式占で用いられる占いの呪力を、具体的なかたちにしたもののことのようです。式神とは式占の呪力を具現化した神々ということで、式占の呪力がそれほどでなければ、式神のチカラや具体的な姿もたいしたものではなく、より大きな式占の呪力を持った陰陽師は、そのチカラに応じて強力な式神を使役することができたのかも知れません。

 
ほかの陰陽師が使う式神をも反対に操ってしまうことができたほど、強大な呪力を持った安倍晴明は、式占の式盤に呼び出す天の神々である十二天将を自分の式神にしていたと言われています。

 
十二天将は、万物の元素を示す「五行」、12年の循環を示す「十二支」、季節や方角などをそれぞれ象徴しており、また「吉凶」どちらかの性質を持っていました。例えば「騰蛇(とうだ)」という炎に包まれた蛇の化身は、五行では「火神」であり十二支は「巳」、季節は夏で南東の方角を示し、吉凶は凶(凶将)です。また天の方角を示す四神(四獣)のひとつで東の守護神である「青龍」は、五行では「木神」であり十二支は「寅」、季節は春で北東の方角を示し、吉凶は吉(吉将)となっています。

 
このように十二天将は吉凶をはじめ、占いに必要なそれぞれの性質やチカラを合わせ持っていましたから、晴明はその性質やチカラを式神として活用していたということでしょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加


スポンサードリンク
スポンサードリンク

Comments are closed.