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超人陰陽師・安倍晴明の不思議エピソード3:カエルを押し潰した!

安倍晴明

陰陽師が使うと言われる「式神(識神)」は、安倍晴明や陰陽師が有名になるとともにわたしたちにも知られるようになりました。
式神の「式」とは使うという意味で、つまり「使役する神」ということです。よく物語では陰陽師が紙(式札)に呪文を唱えると人間や動物、鬼神の姿などの式神に変身しますが、これは神や鬼を神降ろしによって呼び出し、依代(よりしろ)である式札に憑依させて姿をかたちづくり使役するものです。式神は陰陽師の意図や目的によって、それに適う姿のものに変身しました。
そんな式神にまつわる安倍晴明の伝説も、「今昔物語集」巻24の第16話に語られています。

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安倍晴明が草の葉でカエルを押し潰した話

あるとき安倍晴明が京都洛外、広沢・遍照寺の寛朝僧正の住まいを訪れていたときのことです。晴明が僧正にいろいろと相談をしていると、側にいた貴族や僧侶が話しかけてきました。

 
「あなたは式神というものをお使いになるそうですが、その式神の術で人を簡単に殺すことはできますか?」と彼らは尋ねます。「陰陽道の奥義を、ずいぶんあからさまに聞くものですね」と晴明は言い、「そう簡単に人を殺すことはできませんが、少し力をこめれば必ず殺せるでしょう。虫などであれば、ほんの少しの力で殺せます。しかし生き返らせる術は知らないので、殺生の罪を犯すことになります。そんな殺生は無益なことです」と答えました。

 
そのとき、庭先を池の方へと5、6匹のカエルが飛び跳ねて行った。それを見た若い公達(きんだち)が「ではあのカエルを殺してみてください。あなたの力を見てみたい」と晴明に頼みました。「どうも罪を犯したがるようですね。どうしてもと言うなら」と、草の葉を摘み取って呪文を素早く唱え、カエルの方へと投げました。すると、投げられた草の葉はカエルの上に乗り、カエルをぺちゃんこに押し潰してしまいました。これを見ていた僧侶たちは、顔色を失って怖れたということです。

 

 

安倍晴明の周囲に起こる不思議は、式神を使っていたからだった

別の記事でご紹介した、法師陰陽師が2人の少年の姿をした式神で晴明を試そうとし、逆に式神を隠されてしまった話もそうですが、安倍晴明が生きて活躍していた時代でも、晴明の実体は謎に包まれていて伝説化していたようです。ですからその実力を知らない貴族や僧侶たちは、晴明のチカラを試そうとしたのでしょう。

 
今昔物語集のお話では、晴明は式神を使用人として使っていたのだろうかとして、家では雨戸が自動的に開閉したり、人がいないのに門の扉がひとりでに閉まるなど、安倍晴明の周囲では不思議な現象が多かったと伝えています。また、晴明の子孫にもつい最近まで、式神を使う晴明の声が聞こえていたということが記されています。

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