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マンドレイク…ホムンクルスのもうひとつの作り方

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中世ヨーロッパの錬金術の世界において、「人間を人為的に作り出す」という信じがたい事象を実現したという錬金術師パラケルススによると、「人間の精液をフラスコ状の蒸留器に入れて40日間密封し、さらにおよそ40週間を経て、成人した人間のミニチュア版(=ホムンクルス)が蒸留器内にできあがる」、といいます。

この方法が、現在よく知られているホムンクルス作成法なのですが、そのほかにもいくつかの作成法が伝えられています。そのうちのひとつに、マンドレイクを使った作成法というものがあります。

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マンドレイクは実在の植物!

マンドレイク(別名マンドラゴラ)は、ナス科マンドラゴラ属のれっきとした実在の植物で、中世ヨーロッパの時代には錬金術の原料としてたびたび取り上げられるような存在でした。

錬金術を背景としたフィクションの物語においては「引き抜こうとすると悲鳴を上げる植物」として登場することが多く、またマンドレイクの起源として、「絞首刑となった男性が、激痛から生理的に射精してしまい、そこから生まれた植物」といった俗説もあり、男性器の象徴として取り上げることもあるという非常にユニークな植物です。

マンドレイクは、他にも「死刑台の下にしか自生しない」、「引っこ抜くときの悲鳴を聞くと、聞いた人間が死亡するため、犬に引っこ抜かせる」など、錬金術とは直接関係のないマンドレイク自身が持つ伝説も備えています。

 

マンドレイクのユニークな属性

日本ではあまり知られていませんが、マンドレイクという植物は非常にユニークな背景を持っているうえに、実効性のある毒性も備えている、といいます。特に根の部分に多く(数種類)含まれているというアルカロイドは毒性が強いそうで、誤って人体に取り込んでしまうと、幻覚や幻聴をはじめ、瞳孔拡大や嘔吐といった症状、ひどい場合には死にまで至ってしまうという、危険な植物です。

麻薬指定の植物群とは異なり、こんにちの日本において、マンドレイクの栽培は(現在のところ)違法ではないようなのですが、取り扱いには十分な注意が必要、とのことです。

見た目もかなりグロテスクで、特に根の部分は、見ようによってはカエルや人間の姿にも見えなくもない(朝鮮人参の形状に近いものがあります)で、マンドレイクのこうした属性を見るにつれ、中世ヨーロッパの錬金術師達が、「ホムンクルスを作るための原料の一種」と考えていたことは、ある意味納得がいくところではあります。

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カテゴリ: その他

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