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人間を作り出す!ホムンクルスとクローンとの関連性とは


 
錬金術の世界におけるホムンクルスと、後年遺伝子工学の結晶としてウニやヒツジなどで実際に作成に成功しているクローンは、「生殖以外の方法で人間を作り出すためのアプローチ」、という意味で、相互に関連している概念である、といえます。

ホムンクルス作成の試みの延長線上に、現代のクローン技術が存在している、といっても過言ではありません。実際、18世紀頃に、両者の橋渡しとなるような人物が登場しています。スイスの生物学者であるシャルル・ボネと、ドイツの生物学者クリスティアン・パンダーです。

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ホムンクルス実在説

シャルル・ボネは、スイスはジュネーブ出身の博物学者・哲学者で、若年の頃から昆虫の研究にいそしみ、1740年にはアブラムシの単為生殖に関する論文を発表し、当時の科学アカデミーの会員に選出されています。

17~18世紀にかけての時代は、現代においては「あたりまえ」とされている進化論や遺伝子論といった概念がまだ整備されておらず、いわば「近代遺伝子工学の本格化前夜」といった時代でした。そんな中で、ホムンクルスの実在も根強く信じられていたのですが、シャルル・ボネも、ホムンクルス実在説を唱える学者のひとりでした。

彼をはじめとしたホムンクルス実在論者は、精子または卵子に超小型の人間型生命体、つまりホムンクルスが既に存在していて、その後人間の姿に成長していく、と考えていました(錬金術全盛の時代には、卵子ではなく精子がベースである、という考え方が多くを占めていましたが、17~18世紀には卵子も仮説のひとつとしてあげられています)。

 

ホムンクルスが顕微鏡で確認された?!

17~18世紀のオランダに、商人にして科学者でもあったアントニ・ファン・レーウェンフックという人物が存在していましたが、彼もホムンクルスが卵子に存在していると主張していた、といいます。

彼は、顕微鏡を史上初めて実用レベルにまで改良した人物として知られており、現代においてその存在が常識化している微生物類を大量に発見したことでも有名です。彼は顕微鏡を使って実際にホムンクルスを目視確認したとされていますが、記録が残っていないため、真偽のほどは定かではありません。

シャルル・ボネやアントニ・ファン・レーウェンフックの唱えた「個体ミニチュア説」に対して、17~18世紀に活躍したドイツの生物学者クリスティアン・パンダーは、現代においては主流となっている「個体は少しずつ作られるため、精子や卵子には人間型の個体ミニチュアは存在しない」という「胚(=発生を始めたばかりの幼生物)説」を提唱しています。

後者の説はその後裏付けられ、クローン技術につながっていきます。

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カテゴリ: その他

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