> >

ホムンクルスを生んだ時代背景と、クローンとの共通点

パワーストーン
 
錬金術は、中世ヨーロッパを代表する大きなムーブメントとして、現代でも研究材料に取り上げられている事象のひとつなのですが、卑金属を成分の異なる貴金属に変えようとしたり、生殖以外の方法で人間を作り出そうとしたり、といった斬新なアプローチは、まさに「空想の世界を現実にするための取り組み」であった、といえます。

スポンサードリンク


 
現代において、もはや常識となっている自動車や飛行機、インターネットなどの多くのツール群は、こうした「空想を現実に変えるための試み」の中で実現されてきているものです。錬金術における「生殖を伴わない人間の創造」、つまりホムンクルスは、現代科学の礎にもなっています。代表的なもののひとつとして、クローン技術が該当しています。

 

ホムンクルスの背景にあった男性至上主義

ホムンクルスを作り出した錬金術師、パラケルススの時代の中世ヨーロッパは、男性至上主義(現代にもそういった風潮は、世界中のそこここで少なからず残っています)であった、といわれています。そういった時代背景の中、「男性だけで人間を作り出すことはできるはずだ」という仮説ありきで、ホムンクルス作成の研究がおこなわれていたのではないか、と考えられます。

実際に、ホムンクルス作成の初期段階では、男性の精液をフラスコに入れるところからスタートします。当時の考え方の中では、「母体は精子を育成するための環境であり、フラスコや特殊容器といったもので、母体は代替できる」と考える人々が多数存在していました。こういったことも、ホムンクルス存在の信ぴょう性を与えることになったのではないか、と思われます。

 

クローンに対する考え方

ホムンクルスから100年以上後の1903年に、クローンというキーワードが生まれています。クローンは、語源としてはギリシャ語である、といわれており、元の意味は「植物の小枝の集まり(=挿し木)」、とされています。つまりクローンは、一般的なイメージである「とある人間や動物をコピーした個体」を指すのではなく、「同一かつ均一な遺伝情報を持つ個体の集団」を指している、という解釈が正しいようです。

いずれにせよ、中世ヨーロッパにおける錬金術という、半ばオカルトチックな概念のなかで生まれたホムンクルスと、後年に科学技術的な遺伝子研究の中で誕生したクローンは、個体の存在意義という意味合いや、人工的に生命体を作り出すというアプローチにおいて、かなり近い存在である、といえそうです。

このエントリーをはてなブックマークに追加


スポンサードリンク
スポンサードリンク

カテゴリ: その他

Comments are closed.