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ホムンクルスを実際に作った?パラケルススへの衝撃と疑念

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中世ヨーロッパで、スイス出身のパラケルススという人物が、「生殖以外の方法で人間そのものを作り出す」という錬金術を駆使してホムンクルスという物質を生み出したことは、当時信じられていた宗教や常識の範疇を大きく超えるものであり、当時の世の中の人々に対して大きな衝撃と疑念を与える結果となりました。

現代では完全に常識となっている「ダーウィンの進化論」ですら否定されていた当時の世相の中でのホムンクルスの存在は、まさに「神の領域」ともいえるものでした。

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後年に出現した異説

ホムンクルスの作成は、前述のパラケルススの例以外には記録として残っていません。つまり、ホムンクルスの作成をおこなったとされる人物は歴史上パラケルススただ一人であり、極端に例が少ない事実を鑑みると、「ホムンクルスの作成が狂言であった」という疑いも捨てきれません。

この事案に関しては後年もさまざまな議論を呼び、19~20世紀のオカルト研究家であるアレイスター・クロウリーは、「パラケルススのホムンクルス作成方法に対する解釈(フラスコに精液を入れ、数十週間の後に小型の人型生命体ができる)は誤りであり、正しくは乳児の肉体に霊を宿らせて生命体を創造するという解釈が正しいのではないか」との見解を、彼自身の著書『ムーンチャイルド』の中で提示しました。

しかしこの説にしても、科学的な検証が不足していて、未だ真実の究明には至っていません。

 

ゲーテも題材にしたホムンクルス

18~19世紀に活躍した著名な劇作家であるヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは、彼の代表作のひとつである有名な『ファウスト』の中で、題材としてホムンクルスを取り上げています。

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテやアレイスター・クロウリーといった、現代においても名を残している人物が題材として取り上げているところから考えると、ホムンクルスの作成は、世界にたった一例しか存在していない事象にもかかわらず、相当に多くに人々の耳目を集めることになっていたことがうかがえます。

このことは、中世ヨーロッパから19~20世紀以降の近年にかけての宗教観や科学技術、当時まだ判明していなかった科学の領域の真理、世界的な一般常識や風潮、世相などが大きく影響していたもの、と考えられます。

20年前、誰がインターネットやスマートフォンがこれほど浸透することを予想できたでしょうか。ホムンクルスも然りで、当時としては「画期的で将来性のある発見のひとつである」ととらえられていた、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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