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もはや神の領域!ホムンクルス~フラスコの中で作られる生命体

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古代ギリシャで生まれ、17世紀以降に近代化学へと進化を遂げた錬金術は、12世紀頃にイスラム世界で伝えられていた情報が翻訳され、中世ヨーロッパに広まっていったという「卑金属を貴金属へ変える、限りある命を不老不死へ変える」概念です。近代化学の祖であるだけに、錬金術では、さまざまな科学的アプローチがなされています。そんな中でも非常にユニークなのが、ホムンクルスという存在です。

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ホムンクルスとは?

ホムンクルスとは、中世ヨーロッパ当時の錬金術師が作り出したという人造人間を指しています。語源はラテン語で「小人」という意味を持ちます。

ホムンクルスは、14世紀にイタリアから始まったという「ルネサンス期(14~16世紀頃)」に活躍したパラケルススという錬金術師によって唱えられ、実際に作り出すことに成功したといわれていますが、彼以前も以後もホムンクルスの作成に成功した人物は確認されていません。スイス出身のパラケルススは『ものの本性について』という著作の中で、ホムンクルスの姿や作成方法について詳細に述べています。

 

人間の精液から作る?

著書によると、ホムンクルスは人間の精液から作られる、とされています。蒸留器のフラスコの中に人間の精液、それに数種類のハーブ(あわせて糞を入れるという説も存在します)を入れた状態で40日間密封すると、腐敗が進んだ末に「人間の形をしているが、物質ではない何か」があらわれる、としています(この過程は、そもそも物質ではないので、見た目はフラスコ内に大きな変化は見られないのではないか、と推測されます)。

その後、日毎に人間の血液を投与しつつ、馬の胎内と同じ位の温度で保存すると、およそ40週間で人の形をした小さい生物、つまりホムンクルスが現れる、とのことです。

現在信じられている「生物の誕生方法」として、人間や牛、馬などの哺乳類、魚類や爬虫類などの場合は有性生殖、昆虫の一部や植物、微生物などの場合には単為生殖があげられますが、ホムンクルスの作成方法は、そのいずれでもない、ということです。

 

生命体を作り出す技術という意味もある

ホムンクルスというキーワードには、「人間型の生命体を作り出す技術」という意味も持ちます。当時のヨーロッパ世界における、キリスト教をはじめとした宗教では、「万物を作るのは神である」という原則に基づいた価値観が一般的であったため、ホムンクルスは「神の領域に触れる存在、または行為」として大変恐れられていました。

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カテゴリ: その他

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