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錬金術の行き着く先…「賢者の石」が意味するもの

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錬金術は、今でこそ「卑金属を貴金属に変えるという、非科学的かつ前時代的な概念」、つまり一種のファンタジーとしてとらえられ、実際にハリー・ポッターシリーズなどで「魔法や超能力など、想像上の事象」としての評価が一般的ですが、錬金術というアプローチが、国を挙げての一大プロジェクトであった時代も、確かに存在したのです。

現代において確定的事実となっている物質の一部は、錬金術の実験の中から、その存在が立証されてきています。この「立証されている物質の確定」に一役買っていたのが「賢者の石」です。

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不老不死の概念ともつながる賢者の石

錬金術の世界で語られていた「賢者の石」は、錬金術が盛んに研究されていた中世ヨーロッパの時代、鉛や鉄などの卑金属を、金や銀といった貴金属に変えるための「触媒」である、と考えられていました。また「賢者の石」は、いわば霊薬としての側面も持っていました。霊薬であるならば、広い意味での錬金術、つまり「非完全な状態である人間の肉体や魂を、完全な状態に消化するための触媒」にも流用できる、と考えられていました。

現代科学においては、それこそほとんど「ハリー・ポッターの世界の出来事」ではあるものの、これだけ科学技術が進歩している中で、この先「賢者の石を使って卑金属を貴金属に変えたり、人間の肉体やキャラクターを激変させたりする」ということが、まったく不可能であるとは言い切れません。そういう意味では「賢者の石」は、「現代科学の挑戦の象徴である」ともいえます。

中世の時代、人間の肉体の「不完全さ」の最たるものは、「人間が病気や老衰で死ぬこと」でした。このため、目指すべき「完全な人間」として、「不老不死」が目標としてかかげられたのです。

 

賢者の石を構成するもの

「卑金属を貴金属に変える」、または「人間が不老不死となる」ということを目指して、現実の世界と目標の世界を結ぶものとして、「賢者の石」の研究が進められました。

その過程では、さまざまな科学者が学説を発表していきましたが、当時支配的だった見方のひとつに、「賢者の石の成分は、水銀と硫黄という2大要素で構成可能である」、というものがありました。今では完全に否定されています(物理化学や医学の分野は、この説とはまったく異なる方向性をもって進化しています)が、当時はこれを仮説として、コストや年月を費やして研究が重ねられていたのです。

「賢者の石」、それは人類が未来へ進んでいくための、一種の「一里塚」という役割であったのかもしれません。

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カテゴリ: その他

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