脳信号の具現化実験は成功。日本の大槻教授の反応は?
2013年にアメリカのワシントン大学のラジェッシュ・ラオ教授とアンドレア・ストッコ准教授によっておこなわれた「ある人が発した脳信号に、発した人以外の他者が反応することが可能なのか」を検証する実験は、大方の予想に反して成功したようです。実験の成功は、これまで「超能力やオカルトの領域」として取り扱われてきた念力の存在を、科学的にも医学的にも「完全に説明できる」ものではないものの、念力の存在に関する一定の可能性を示したことは事実です。
一定方向かつ特定の電気信号のみ捉えた
この実験によって立証されてたことは、「(専門分野における詳細な起債は省略しますが)ある特定の領域における脳の信号について、かつ一方向のみ(今回の場合はラオ教授からストッコ准教授への発信のみ)伝達は可能である」ということでした。一般的に考えられている念力や、テレパシーや瞬間移動といった超能力は、ある種の万能感を持って語られることが多いのですが、今回の実験ではその一部が科学的な手法で立証されたにすぎません。とはいえ大いなる一歩であり、これまで権威ある立場の方が、明言を避けてきた領域であることもまた事実です。
日本の大槻教授の立ち位置
実験結果についての反響は、かなり大きなものがありました。一例として、日本では「反オカルト」という立ち位置で、長年にわたって超常現象を攻撃(いいかえれば「常識や一般論に基づいて、現時点で判明している科学的事実をもって、超能力に対する論理的な反論」、ということです)していた早稲田大学名誉教授の大槻義彦氏が、一定の理解を示していることからも、その影響の大きさがわかります。
大槻氏は、1936年生まれの日本の物理学者で、超能力や心霊現象がメディアで取り上げられるたびに、物理学の立場から論争を挑んできています。念力をはじめとした超能力は、専らオカルトの分野でしか語られることがなかったことからも、大槻氏の挑戦には(第三者的にみると)ほぼことごとく敗北してきていたのです。その大槻教授が、「インターネットを介した電気信号の存在」には、一定評価する姿勢を示しているようです。
物理学者にとっての「念力の疑惑」
実験が評価されている理由として、「念力の疑惑」のいくつかが解消されたことがあげられます。解消された「念力の疑惑」は大きく2点、ひとつは「スプーン曲げの例のように、念力が空気を介して物質に伝わったのではなく、インターネットを介して電気信号として伝達されたこと」、もうひとつは「ひとりの人だけによって念力が実行されたのではないこと」です。いかにも物理学者らしい着眼点ですが、有識者による評価は、今後念力の解明にもつながっていくことと思われます。