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世界最古級のSF小説『竹取物語』のあらすじと背景

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日本で最も古い物語は何だかご存知ですか? 日本の「物語の祖(おや)」とも言われるこの作品は、世界でも最古級のSF小説とも言われています。
それは『竹取物語』。光る竹から現れ月に帰る「かぐや姫」で知られる、あの物語です。

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世界のSF小説の歴史では、古代ギリシアのルキアノスという人が2世紀半ばに書いた『本当の話』と『イカロメニッポス』という作品が最古なのだそうで、竹取物語は平安時代初期の10世紀半ばには成立したとされていますから少しあとの時代なのですが、それでもかなり古い作品であることには間違いありません。

ちなみにルキアノスの2つの作品は月の世界に旅行する物語で、竹取物語は月から来たお姫さまの物語。不思議にもどちらも月がモチーフなので、とても興味深いですね。

 

竹取物語が書かれたのはいつ?

竹取物語はSF小説と言われるだけあって、とても謎と不思議に満ちています。
じつは、誰がいつ書いたものなのかがわかっていません。かな文字で書かれた最初期の物語でもありますので、かな文字が誕生したと思われる平安時代初期だろうとされています。そのほかにも作品が書かれた時期を知る手がかりとして、登場人物のモデルとなった人たちがいたと考えられていますが、それはまた別の記事で取り上げようと思います。

さて、竹取物語の謎や不思議を探る前に、簡単に物語のあらすじをご紹介しましょう。

 

竹取物語のあらすじ

むかし、竹を採って暮らす年老いた翁(おきな)とその妻がいました。ある日、翁が竹林に行くと光輝く竹があります。この竹の中には、わずか3寸(約9cm)の女の子がいたのです。翁はこの女の子を連れて帰り育てると、夫婦は裕福になり、女の子もあっというまに美しい女性へと成長したのです。そして、かぐや姫と名付けられました。

美しいかぐや姫は、すぐに都の評判になります。すると5人の身分の高い貴公子が、かぐや姫に求婚しようと現れました。
翁はかぐや姫に、この5人のうちの誰かに嫁ぐように薦めますが、かぐや姫は5人それぞれにこの世では手に入れるのが難しい珍しい宝を探して来ることを条件にします。結局、5人の貴公子たちはその難題を解決することはできませんでした。

かぐや姫の評判は帝(みかど)の耳にも届きます。帝は偶然を装ってかぐや姫の屋敷を訪れ、その美しい姿を見てひと目惚れしてしまうのです。なんとか想いを遂げようと手紙や和歌のやりとりをしますが、3年の月日が経った頃、かぐや姫は悲しみにくれるようになり、月の都から迎えが来て帰らなければならないと翁に打ち明けます。
これを知った帝は軍勢を差し向け屋敷を取り囲みますが、その時になると空から雲に乗って月の都の天人が降りて来て、帝の軍勢は為す術もなくかぐや姫は月へと帰って行ってしまうのでした。

かぐや姫は帝に、手紙と和歌と不死の薬が入った箱を残しました。帝は手紙を読んで深く悲しみ、この地上で最も天に近い高い山で手紙と不死の薬を焼くように命じます。そして焼いた煙は今でも立ち昇り、この山は「不死の山=富士の山」と呼ばれるようになったということです。

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