世界最高?最も背の高かったダイダラボッチの身長を推測する!
古代日本の巨人「ダイダラボッチ」の背の高さはどのくらいだったのか? それを具体的に伝える伝承はあまりありません。
ダイダラボッチの足跡と伝えられ遺されている池や窪地の大きさから推定してみると、東京の代田橋にあったという長さ180mほどの足跡からは身長が約1,170m。また、静岡市のダイダラボウという山にある長さ150mほどの窪地からですと、1,000m弱が推定されます。この2つの例からは、ダイダラボッチの身長はおよそ1kmということでしょうか。
「進撃の巨人」の超大型巨人が60m、ゴジラの身長が作品によって違うのですが50mから100mですから、これらよりも遥かに背が高いと言えます。
しかし、この身長1,000mよりももっと背の高い、おそらく世界最高身長と思われるダイダラボッチの伝承があります。
ダイダラボッチによって富士山と琵琶湖ができた!?
むかし信濃国(長野県)と上野国(群馬県)の境にある浅間山と碓氷峠の間に、「デーランボウ(ダイダラボッチ)」という巨人が棲んでいました。浅間山と碓氷峠の間ですから、軽井沢の北側辺りになるでしょうか。
このデーランボウ、身長はなんと浅間山よりも高かったといいます。浅間山の標高が2,568m。仮に平坦地の軽井沢から立ち上がった背の高さだとしても、現在の軽井沢駅の標高が約940mですから、差し引き1,500m以上の背の高さがあったということになります。
おそらくこの浅間山のデーランボウが、世界最高の身長を持った超巨人ということになるのではないでしょうか。
ある日、このデーランボウが碓氷峠に腰をかけ、妙義山(群馬県)の谷間に足を伸ばして寝ていたそうです。碓氷峠と妙義山との間の直線距離はおよそ10kmほどですから、腰から足先までの長さが1,000m。もしかしたら身長は1,500mよりももっと高かったのかも知れません。
浅間山の灰もダイダラボッチの仕業?
それはともかくデーランボウが寝ていると、猪が足をかじったのだそうです。それで目を覚ましたデーランボウは怒って猪を握りつぶし、カマド岩というところに鍋をかけて火をおこして猪鍋を作りました。
そしてそれを軽井沢の離山に持って行って食べようとしたところ、岩に足をぶつけて躓き、鍋をこぼしてしまったのです。それから、この地方の土地には猪鍋の汁が染みてしまって、塩辛い水が湧くようになってしまったのだとか。
デーランボウの鍋の話は、浅間山の噴火口に鍋をかけて兎や猪などの辺りの動物や植物を入れて煮て食べていたという話もあり、またデーランボウがくしゃみをすると人間の家が千戸も万戸もいっぺんに空に舞い上がったと言います。
また、浅間山の噴火の灰が一帯に降り積もったのは、寝ていたデーランボウが鍋を蹴飛ばしてひっくり返したからだとも言います。そのおかげで信州側では草木が枯れて何百年も生えず、軽井沢の塩壷温泉の湯が塩辛いのは先ほどの話と同じく、ひっくり返った鍋の汁が土地に染みたせいなのだそうです。
このように浅間山のデーランボウは、あまりにも巨大すぎてなんとも迷惑な巨人だったのでした。