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パラレルワールドの解釈と多世界の単一化


 
1920年代頃に活躍していたオーストリアの物理学者、エルヴィン・シュレーディンガー氏(1933年には、新しい原子理論を発見した功績により、ノーベル物理学賞を受賞しています)がおこなった「シュレーディンガーの猫」実験では、量子理学の観点から、賛否両論のさまざまな見解を引き起こしました。現在でも学説としては有効で、ある意味科学的な真理の一つといっても過言ではないのですが、それでも「生きている猫と死んでいる猫が共存している」ことを許容するパラレルワールドは、人間の認知の範囲を超えている概念であり、パラレルワールドの全貌を、完全に説明し切れているとはいえません。

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観測時に唯一の事実が確定する?

「シュレーディンガーの猫」を考える際や、量子力学の前提となっている「観測(つまり人間が認知した時点で世界はひとつと認識されること)」を考察してみると、そもそもなぜ人間が認識した瞬間に、ミクロな物質もマクロな物質も、ただひとつの事実として結合してしまうのでしょうか。量子力学が正しく、パラレルワールドが存在しているとしても、観測によってパラレルワールドが突然「唯一の事実」となりえてしまう理由は説明されていない、といえます。百歩譲って「ミクロな物質は目に見えないから、いつまでも結合しない=パラレルワールドのまま存続している」、とも解釈できますが、その場合にはミクロな物質は未来永劫結合しないことが約束されているのでしょうか。

 

フォン・ノイマン氏の主張

この問いに対して、物理学者ではなく、1903年生まれのハンガリー出身でアメリカの数学者のフォン・ノイマン氏が、可能性としてひとつの見解を示しています。彼は、「コンピューターの父」と呼ばれるほどに、コンピューターの発明に貢献した人物のひとりとされていますが、ノイマン氏は「どんなに数式や方程式を駆使しても、物質の状態がひとつに確定されることはない」ことを数学的に証明して見せたのです。つまり、「数学的な見地からも、パラレルワールド存在の可能性は否定されなかった」、ということです。ノイマン氏は、観測による事実の確定は、実は「人間の認識(心や気持ちを含む)が、複数ある世界からひとつの事実を決める」ことで生じている、と仮定しました。人間特有の能力によって、物理学的にも数学的にも否定できない「多世界の単一化」をおこなっている、というのです。これが事実であれば、パラレルワールドは絶対的な存在感を帯びてくる、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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