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パラレルワールドを否定するシュレーディンガーの猫の実験とは

猫
 
パラレルワールドとは、「今現実に起こっている出来事は、実は複数の可能性をもった出来事のごく一部であり、出来事が起こる(その出来事が誰かに観測された)以前には、その出来事が起こりうる複数の可能性世界が存在している(観測された後にも、複数の可能性がある限り、世界は分岐して存在しうる)」、といった考え方です。これは主にSFの世界で語られることの多い概念なのですが、1950年代には、量子力学による多世界解釈という物理的な学問によっても説明されている、れっきとした学説です。

しかし、物理学としての多世界解釈を、真っ向から否定するような解釈もまた存在しています。それが、「シュレーディンガーの猫」です。

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エルヴィン・シュレーディンガー氏の画期的な実験

量子力学上の多世界解釈は、パラレルワールドの説明にも使われる学説なのですが、これは粒子などのミクロな物質が、「あくまでも観測した時点で事実として固定されるものであり、観測する直前までに起こりうる可能性は、すべて並行して存在している」、といった考え方です。更に並行的に存在している可能性は、相互に作用しあっており、作用の結果として観測時に「とある可能性のひとつである事実」として完結する、と考えられています。

これを真っ向から否定する学説を提唱したのが、オーストリアの物理学者であるエルヴィン・シュレーディンガー氏です。彼は1926年、波動力学を提唱したほか、現在では量子力学上の基本とされるシュレーディンガー方程式や、パラレルワールドに根源的な疑問を投げかけることになった実験をおこなったことで有名な人物です。この実験が、「シュレーディンガーの猫」でした。

 

量子力学による説明はマクロな世界に限る?

「シュレーディンガーの猫」実験では、それまで量子力学の世界で信じられていた「観測以前の多世界解釈」が、ミクロな物質でのみ語られていることに着目し、電子や粒子ではなく、猫を使って実現可能性や多世界解釈を否定するための実験をおこないました。

この実験では、外から中身が確認できない箱の中に、電子、電子に反応するセンサー、毒ガス、そして猫を入れました。このセンサーは、電子の位置がとある特定の場所に存在していた場合に、毒ガスを噴射する構造になっていました。もし本当に「観測するまでは複数の世界が同時に存在する」のであれば、電子がその位置を変える可能性だけ世界が存在し、毒ガスが噴射されて猫が死ぬ可能性と、毒ガスが噴射されないで猫が生きている可能性が同時に存在しているはず、と考えました。

しかし実際には、猫は箱の中で「生きているか死んでいるかのどちらか」であるわけで、この実験を持って「量子力学が掲げるパラレルワールド的な解釈は間違いである、なぜならば、箱を開けて人間が観測される以前に、猫の生死が確定するからである」、と説明したのです。

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カテゴリ: その他

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