物理学的に仮説検証可能?パラレルワールド実在説の根拠とは
「意味や根拠は存在していないけれど、キーワードとしては、(オカルトや科学的仮説の世界を中心に)比較的メジャーな概念であるパラレルワールドは、多くのSF小説や学説などに登場し、現代においても多くの議論を呼んでいる、私達の生活にダイレクトに影響しうる命題です。現実的な出来事、つまり「人が実際に現実として体験したこと」以外に、なんらかの領域が存在している、といった概念の象徴として、パラレルワールドは今も議論の遡上にあがり続けています。
デイヴィッド・ドイッチュ氏が説いた「多正解解釈」
パラレルワールドは、幾多のいわゆる「フィクションの世界」で、想像上の概念として描かれてきましたが、「人が現実に選択し、実際に起こった事実以外に、選択肢毎に違った世界が存在する」という概念は、世界中の科学者達の探究心や実証アクションを呼び起こすには十分な「研究するに値する、興味深い仮説」でもありました。イスラエル出身の物理学者、デイヴィッド・ドイッチュ氏は、まさにパラレルワールド的な概念に触発された学者のひとりで、19世紀~20世紀にかけて発表されたさまざまな学説に、パラレルワールドの仮説を適用し、非常にユニークな結論を発表しています(「量子物理学的に、パラレルワールドは実在しうる」、とのことです)。さらに、ヒュー・エヴェレット3世というアメリカの学者がその概念を発展させ、パラレルワールドの原型である「多世界解釈」という学説を提起しています。
物理学者の見解は「是非としてありえる」
「量子コンピュータ」や「量子宇宙干渉機」といったSF的な事象を切り口として、近年の多くの物理学者の間でも、パラレルワールドは「是非としては存在しうる概念である」、との見解を示しています。このことは、パラレルワールドが、人間の想像の世界だけに存在するものではなく、物理学的に仮説検証可能な概念であることを示しています。これは非常に驚くべきことで、物理学者の着地点は、心理学的アプローチでの仮説検証の世界における検証結果をしのぐ、パラレルワールドの実在性に直接作用する考え方である、といえます。
思考の世界でのみ無数に存在する世界?
そもそも「パラレルワールド的な概念が生まれた根拠」を考えてみると、「人間の脳における、無限の可能性を背景とした、無限大の思考」というものがあげられます。人間は、現実に起こったことと同様に、想像の世界における願望や不安を「一種の現実の出来事」として認識することができます。パラレルワールドの考え方は、もとはそういった「想像の概念」から生まれたものであったはずなのです。