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錬金術師カリオストロとサン・ジェルマン伯爵の評価が異なる理由

ヴェルサイユ宮殿
 
18世紀に活躍し、1795年にはローマ教皇を罵りながら監獄で飢死した、とされているヨーロッパの錬金術師カリオストロは、今では完全に詐欺師や山師の扱いで語られていて、同じ錬金術師であったとされるサン・ジェルマン伯爵とは対照的な評価となっています。このことは何を意味しているのでしょうか。カリオストロとの評価の差が大きいことの理由は、大きく3つ考えられます。

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噂を否定しなかったサン・ジェルマン伯爵

サン・ジェルマン伯爵の特徴として、まずひとつ目にあげられるのが、「サン・ジェルマン伯爵は、噂ベースで流布している情報について、否定をしなかった」ことがあげられます。例えば、その年齢が2000歳~4000歳であったという噂や、アレキサンダー大王やキリストと会話したことがあるという「前世の記憶」に関する噂など、にわかには信じがたいような逸話を含めて、あえて否定するようなことはしなかったようです。

 

豊かな才能と教養を併せ持つ

次にサン・ジェルマン伯爵は、錬金術師としての顔だけではなく、楽器演奏や画才などの芸術的才能や、歴史への造詣、さまざまな分野における広い教養などを持ち、当時の社会事情にも精通していたことも、その存在に説得力を持たせる理由になっていたのではないか、と考えられます。

これは彼が実際にかなり裕福な家系の生まれで、少なくとも芸術的才能や教養に関しては、カリオストロなどのほかの錬金術師との比較において、疑義の余地が少なかったのではないか、と思われます。

 

アンチエイジングの先駆者?

それからサン・ジェルマン伯爵が持つ「不老不死の伝説」について、現実問題として彼が非常に若く見えたことがある、と考えられます。これは、(あくまでも仮説ですが)もともとのルックスに加えて、教養を持っていることを含めて育ちがよいことや、一説によると「食事をしているところを他人に見せたことがない」という点から、食事療法または食事制限をおこなっていた、つまり現在でいうところのアンチエイジングのアプローチを実践していた、と考えると、ある程度の説明はつくのではないでしょうか。

このように、「若く見えること」、「教養があり、当時の社交界や、貴族階級になじんでいたこと」、「自然発生(または自ら流布)した噂を否定しなかったこと」、これらの要素がプラスに働き、盆百の錬金術師のような「ある種の胡散臭さ」を払拭できたのではないか、と考えられます。真相解明についての検証が、さらに進むことを期待したいところです。

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カテゴリ: その他

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