> >

ふたりの錬金術師~カリオストロとサン・ジェルマン伯爵

282b9e8d7b81c2584bac3b2b716f4419_s
 
「不老不死の存在であり、現代もどこかで生きている」、「19世紀以降に目撃されているのは亡霊であり、18世紀には死亡している」、「ヨーロッパ史上において最大の謎の人物」、といった逸話とともに、今もさまざまな議論を呼んでいるサン・ジェルマン伯爵ですが、中世ヨーロッパで化学技術の側面と、どこか胡散臭いところも併せ持った存在として語られていた錬金術および錬金術師としての見解も広く伝えられているところです。

スポンサードリンク


 
彼と並んで「謎の錬金術師」として伝承が残るカリオストロという人物との比較をとおして、サン・ジェルマン伯爵の存在を考察していきます。

 

カリオストロという錬金術師

ヨーロッパにおいて、サン・ジェルマン伯爵がもっとも活動し、さまざまな憶測を呼んでいたという時代と時を同じくして、カリオストロという錬金術師が存在していました。彼は、本名をジュゼッペ・バルサモといい、伯爵を自称し、錬金術師のほかにも、医師や山師、詐欺師といったあまりありがたくない肩書きを持って語られている人物です。

伯爵を自称していたようですが、記録からはそういった身分であった確証はなく、当時多く存在してたという「低い身分からのし上がるために、上流階級や社交界にまぎれこんでいたアヴァンチェリエ(=山師)」である可能性が高い、とされています。このあたり、サン・ジェルマン伯爵が「謎の人物」とされていることに対し、かなり低い評価がなされていることがわかります。

 

最期は獄死している

カリオストロは、「ギリシャ人錬金術師であったアルトタスという人物の弟子としてキャリアを開始した」と回想録で語っています(しかしアルトタスが実在した人物であるという確証はない、とのことです)。

その後数多くの偽名を語りながら中世ヨーロッパの社交界に紛れ込み、エジプト・フリーメイソンを結成したり、1785年に160万リーブル(現在の日本の価値に換算するとおよそ30億円程度)という巨額の宝石詐欺事件(当時のフランスの王妃である、マリー・アントワネットの関与を語るという、典型的な詐欺行為をはたらいた、とされています)を引き起こしてヨーロッパを転々としました。

さらに宗教裁判にかけられた末に投獄され、最期は飢えによって獄死した、とされています。ある意味当時の錬金術師を体現している生涯である、ともいえそうです。カリオストロと比較すると、サン・ジェルマン伯爵の現在の名声とは、かなり差があります。

このエントリーをはてなブックマークに追加


スポンサードリンク
スポンサードリンク

カテゴリ: その他

Comments are closed.