> >

ペルー古代アンデスの頭蓋骨手術の真実(後編)

ペルー頭蓋骨手術

 

現代においてもリスクが高いといわれている脳外科手術ですが、南米はペルーで、なんと1000年以上も前に既におこなわれ、成功例もあったのではないか、という学説が存在しています(実際に、発見された遺骨から、穴の周囲の組織が再生した形跡が認められた、ということが根拠となっています)。
なぜこれほど昔に、脳外科手術を成功させることができたのでしょうか。

スポンサードリンク

 

 

高地に栄えた文明であること

まず考えられることは、アンデス文明が、アンデス山脈という高地に栄えた文明であったことが考えられます。
一般に、山岳地帯などの高地においては、細菌が少ないとされていますので、開頭手術をおこなっても比較的リスクが低かったということの要因のひとつであった、と思われます。

 
しかし、この条件だけでは、現在発見されている、おびただしい量の手術成功例を示す遺骨全部の根拠とはなりえないでしょう。
この条件だけであれば、アンデスの地以外でも、世界各国の高地において、同じ例がたくさん発見されてもおかしくありませんが、実際には類似する例はごくわずかである、とされています。

 

 

武器が石や棍棒であったこと

さらに、当時の戦争における武器が、鉄砲などの火器ではなく、石や棍棒であり、頭蓋骨を含めた身体に損傷を負うようなことが頻繁に発生したために、治療行為が発達したのではないか、と考えられます(頭部に打撃を受けてクモ膜下出血を起こした場合、血が固まる前に取り出さなければ、脳が圧迫されて障害が起こったり、死に至ったりするため、たとえ大昔であったとしても、何らかの処置方法を発見し、実際におこなっていた可能性は否定できません)。

 
またこの地域では、麻薬の原料とされるコカという植物もたくさん生えていたため、コカの葉を外科手術に必要な麻酔として活用することができたことも、医療技術が発達する下地となっていた、と考えられます。

 

 

真相はわかっていない?

頭蓋骨に残った傷や穴の状態も、年代によってさまざまで、大きな穴や陥没があるだけの遺骨から、小さな穴が数十個規則正しく並んでいるような遺骨も発見されています。
このことは、この地域における脳外科手術の技術が、かなり長い期間をかけて改善を重ねていった結果、高い技術に進化した可能性を示しています。

 
アンデス文明は、最終的にはインカ文明として1500年代には滅んでしまいましたが(スペイン人コンキスタドールによって征服されてしまいます)、文字を持っておらず、確固たる証拠となるような記録は残っていないため、真相は現在も謎である、といえます。

このエントリーをはてなブックマークに追加


スポンサードリンク
スポンサードリンク

カテゴリ: その他

Comments are closed.