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神の怒りが沈めた大陸~プラトン、アトランティスの消滅を語る

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高い技術水準を持ち「早すぎた文明国家」として存在しながら、天変地異によって一昼夜にして消滅したというかつてのアトランティス大陸。ムー大陸やインカ文明などと並んで、「現代も解明されていない謎の文明の象徴」のひとつとして、現在も頻繁に究明の遡上にあがっています。アトランティスについて詳細に語られている、最古の物語の代表的なものとして、古代ギリシャ社会の識者、ティマイオスとクリティアスの談話が残されています。

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プラトンの著書によって伝承されている

西洋哲学の源流と称されている古代ギリシャの哲学者、プラトンの晩年の著書である『ティマイオス』と『クリティアス』は、それぞれプラトンゆかりの人物が語る形で著されています。前者はプラトンの数学の教師といわれているロクリスの政治家、後者はプラトンの曾祖父とされています。著書の中では、この2人とプラトン自身に加えて、シュラクサイの政治家にして軍人でもあるヘルモクラテスも、語り部として登場していて、この4人の対談として、さまざまな説が唱えられています。

 

理想国家論の敵対者として語られたアトランティス

プラトンの著書『ティマイオス』では、当時プラトンが時の為政者と共に唱えていた「理想国家論」が語られているようなのですが、その中でのアトランティスは、古代ギリシャの中心的都市であるアテネ(アテナイとも表現します)と敵対する関係として語られています。強大な軍事力や先進的な技術を持って、古来ギリシャ・ローマ周辺社会全域を支配しつつあったアトランティスに対して、理想国家を標榜していたアテネを擁する古代ギリシャが、アトランティスに支配された地域の解放者であった、という説が記載されているようです。また、度が過ぎるほど突出した力を持つ国家は、アトランティス以前にも、洪水などの天変地異(厳密には「神の怒り」といったニュアンスで語られています)によって何度も滅んでいる、とも言及しています(「アテネの民も犠牲になった」、との記載もあるようです)。

 

アテネとアトランティスの関係が語られる

『クリティアス』は、『ティマイオス』の続編であるとのことで、敵対関係を持ったアテネとアトランティスの、より詳細な関連性の物語が記されています。また、洪水などの天変地異が起こるたびに、優れた民が失われ、(後世に真実を伝承することができないような)賢者以外が生き残る、といったことが繰り返されているため、後世に真実が伝わりにくいだろう、との見解も示されています。なんとも理解しがたい哲学者の言い分なのですが、何千年も前の段階で、事実が正確に後世に伝えられる可能性について言及していることは、注目に値します。アトランティスが消滅した、という伝説の背景には、当時のギリシャ社会やアテネが、国家や主要都市として抱えていた課題感や、既に表出していた社会的な矛盾などがうかがえます。このあたりから、古代ギリシャも、現代社会にも通じるような普遍的な社会問題を抱えていて、そんな中でアトランティス伝説が育まれたのではないか、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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