アトランティス大陸の語源から存在の謎を考察する!
幻の大陸とされるアトランティスについて、そもそも存在していたのか、存在していたとするといつごろまで存在し、いつごろ消滅したのか、真実なのか捏造なのか、といったさまざまな議論が、いまもやむことなく継続されています。アトランティスという呼称は、古代ギリシャのプラトンの著書によって一般的に定着した、といわれていますが、アトランティスは、もとは「アトラスの女性形」としての表現である、とのことです。この事実から、アトランティスの謎を切り崩すことはできないでしょうか。
ティーターン族の神アトラスとは?
アトランティスの語源となっているアトラスとは、もとはギリシャ神話の神々の種族のひとつ、ティーターン族に属していて、オリンポスの神よりも古い時代に台頭していた神である、とされています。さらに、アトラスという呼称の意味は、「支える」という意味合いを持っていたそうです(北アフリカの古代先住民であるベルベル人が、アトラスの意味の定義に関わっている、といわれています)。アトランティスは、このアトラスの女性形の呼称として、当時の古代ギリシャ・ローマ世界で通用していたようですが、実はプラトンは、アトランティスという表現に、「大西洋」という意味合いを含ませていたようです。このニュアンスは古代ギリシャの叙事詩「オデュッセイア(紀元前9~8世紀頃に活躍したホメロスという詩人の創作といわれています)」にも既に見られます。
大西洋=海=母、故に女性形
また、紀元前5~4世紀頃の著書「歴史(有名な歴史家で、歴史の父ともいわれるヘロドトスの作)」の中でも、アトラスは大西洋として言及されているようです。こういったことから、アトラスは海で、大地が父であるという前提で、海であるアトラスは女性、故に女性形を意味するアトランティスとなり、さらにアトランティスがかつて存在した場所として、大西洋が取り沙汰されるようになったのではないか、と推測できます。
ストラボンによる異説も
一方、後年(紀元前1~紀元1世紀)登場したストラボン(古代ローマの歴史家、哲学家)の主張によると、「ジブラルタル海峡より西のアフリカ周辺世界の歴史は、古くから嘘や伝承に基づいたものが多く、信頼性に乏しい」ともいわれており、アトランティスにまつわる伝承の真偽は、紀元前後の時代には、既にグレーゾーン扱いとなってしまっていたことがうかがえます。その後の諸説多発はいわずもがなであり、今となっては真実は闇の中なのですが、わずかに確認されている物証(アトランティスのものであるという意見が多い、とされる遺物)などから、真実が解明されることに期待したいところです。